一般に契約などを行うためには、判断能力が必要です。
例えば、幼稚園に通っているお子さんが不動産の売買契約ができるかといえば、できないと考えられるように、法的な行為にはそれなりの判断能力が必要になります。
法的には「意思能力(いしのうりょく)」といいますが、この能力がないと有効な契約を行うことができません。
認知症や精神疾患がひどくなると、この意思能力がないことになり、契約などを進めることができなくなってしまいます。
しかし、例えば施設の入所契約など、本人にとって必要な契約もあります。
そこで、今回は認知症や精神疾患の方の契約などを進めるためにはどうすれば良いかについてお話ししたいと思います。
成年後見制度
まず、法的に意思能力がない場合、判断能力が常にない状況と考えられますので、「成年後見制度」を利用できることがほとんどです。
成年後見制度とは、判断能力がない本人に代わって、契約などを行えるように、「成年後見人」という人を選任し、その方に権限を与える制度です。
成年後見人を選任するのは裁判所です。
裁判所に自薦の場合も含め、申立てを行い、裁判所で成年後見人を選任する流れになります。
もっとも、成年後見制度には以下のような特徴(注意点)もあります。
- 一度開始すると、契約を締結した後も終了することはない(亡くなるまで続く)
- 財産の管理について裁判所へ定期的に報告することが必要である
- 財産の分離等、明確な管理が必要である
このように、単に「契約を結んで終わり」ではない制度ですので、利用には慎重な検討が必要です。
その他の方法(家族名義での契約)
成年後見制度を利用しない場合、本人が契約することはできません。
他方で成年後見制度の利用も難しい場合、一つの方法としては、周囲の方が契約する方法があり得ます。
例えば、ご家族が「ご家族名義」で施設の契約などを行う方法です。
もっとも、この場合には、利用料の支払義務なども「契約者(家族)」が負いますので、「本人のための契約だから自分は関係がない(本人の財産から払ってくれ)」などということはできなくなります。