業務委託契約で委託範囲が不明確な場合のリスク
業務委託契約において、委託する業務の内容や範囲が不明確であったり、当事者間で認識に齟齬があったりすると、後々トラブルの原因になる可能性があります。
場合によっては、「どこまでが委託範囲か」といった見解の相違が、プロジェクトの成否を左右する大きな問題に発展することもあります。
トラブルの例と対策
以下に、委託業務の内容・範囲の不明確さに関する具体的な事例をご紹介します。
システム・ソフトウェア開発における事例
開発委託契約において注文仕様が抽象的であったため、完成した試作品の出来栄えについて、 委託者は「不十分だ」と主張し、受託者は「これで足りるはずだ」と主張が食い違うケースがあります。
例えば、ソフトウェア開発の委託において、仕様をユーザーとの打合せで決めるとしながらも、 その内容を書面で確認しなかったために、受託者が自己の判断で作業を進めたところ、 納入時に「仕様と異なる」として無償でのやり直しを求められる事例が考えられます。
このような場合、主要な点は書面で確認する、またはメールでやりとりするなどして詳細を詰めておく対策が重要です。
製造委託における開発規模の増大・仕様変更トラブル
当初の予定よりも開発規模が増大した際に、下請業者が「予定を超えた規模は契約範囲外だ」と主張し、 増加した開発費用の支払いを求めて提訴するケースもあり得ます。
東京地判平成22年7月22日では、要件定義が定まらない時点で契約を締結し、 その後に当初想定を超える規模のシステム構築を求められた場合、 当初契約金額の範囲で製作することを求めることはできないと判断されています。
このようなトラブルを避けるには、開発規模が増大する可能性が出てきた段階で、 綿密に打合せを行い、都度書面等で確認することが重要となります。
その他の事務・役務提供に関する事例
店長との役務提供契約において、契約書がなく委託業務の範囲が明確でなかったことなどを理由に、 雇用契約の性質が認められた事例があります(京地判平成25年7月17日)。
このような事態を防ぐためには、契約の範囲を書面などで明確化しておき、 時々の指示によることのないようにする必要があります。