お子さんがいらっしゃるご夫婦が離婚される場合には、必ず親権者を決める必要があります。
親権者とは、お子さんの様々な事項を決定する権利を有する者ですが、親権者が決まっていないと、離婚は受理されません。
とはいえ、離婚は合意できているのに、親権者が決まらず、どうやって離婚したらよいのかお悩みの場合もあるでしょう。
そこで、今回は、離婚の際に親権を決めるときの考慮要素についてお話ししたいと思います。
親権者の決め方
そもそも親権者については、夫婦の協議で決まるのであれば、決めてしまって良い事項です。
しかし、協議が整わない場合には、裁判所の離婚調停で話し合い、それでも難しければ離婚訴訟で定めることになります。
調停や訴訟では、裁判所の調査官(児童心理や社会心理などの専門家)が調査を行い、親権に関する意見を報告することが多く、最終的に裁判官が親権者を決める場合には、その報告書を大いに参考にすることが多いのが実情です。
親権者を決める考慮要素
では、調査官の調査や裁判官の判断において、親権者を決めるにあたっては、どのような要素が考慮されるのでしょうか。
これには様々なものがあり、お子さんの年齢や生育状況、年齢によってはお子さん自身の考え、これまでの養育状況、現在の養育状況、将来の養育状況の予定、養育補助者の有無、面会交流への許容性、兄弟姉妹の不分離、等々です。
お子さんが18歳に近い場合は別として、お子さんが、こちらが親権者となることを希望しているというだけでは足りず、上記の様々な要素が考慮されます。
また、経済力などは一定程度考慮されますが、養育費があるため、必ずしも経済力がある方が親権者になるということはありません。
連れ去りなどはしてはいけない
上記のような要素から、現在の養育状況が大切と考えて子を連れ去る(監護している親に黙って子を連れて行ってしまう)ことを考える方もいるようですが、これは決してやってはいけません。
連れ去り自体が違法行為になることがほとんどですし、場合によっては刑事罰の対象になります。
また、親権を決めるにあたっても連れ去り行為があったこと自体が不利な要素(しかも大きい要素)になります。
どうしても相手方が監護している状況に納得がいかない場合には、監護権者指定という裁判所の手続きがありますので、これにより、自らが正式に監護親になるようにすべきでしょう(ただし、手続きをしたからといって、必ず監護親になれるわけではありませんので、この点は注意が必要です。)。