訴訟を提起したい、あるいは裁判所から訴状が届いたという場合、多くの方は弁護士への相談を考えます。
しかし、費用面や時間の都合、あるいは「自分でやってみたい」という思いから、弁護士に依頼せず「本人」で対応せざるを得ないケースもあります。
今回は、弁護士をつけずに本人が訴訟を行う際の注意点と、本人で対応可能な範囲の目安についてお話しします。
本人が訴訟を行う場合の3つの注意点
裁判所は、本人が対応している場合には手続きをわかりやすく説明してくれるなどの配慮はしてくれます。しかし、「どう主張すれば勝てるか」というアドバイスは一切くれません。以下の点に注意が必要です。
- 十分な知識を身につける:有利な法律構成や必要な証拠は自分で調べなければなりません。本やインターネット、可能であれば単発の法律相談などを活用して情報収集を徹底しましょう。
- シンプルに行動・主張する:訴状の作成や尋問の回答は、できるだけ簡潔に。話が脱線したり複雑すぎたりすると、裁判所に要点が伝わらず、結果に悪影響を及ぼすことがあります。
- 感情的にならない:裁判はあくまで「事実を法律に当てはめる場」であり、情に訴える場ではありません。冷静に振る舞うことが、自身の主張に説得力を持たせる近道です。
本人で対応できる範囲の目安
内容の複雑さによって、本人が対応できるかどうかのハードルは大きく変わります。
- 対応可能な可能性が高いもの:定型的な貸金請求、家賃の未払い請求など。これらは裁判所に定型の書式が用意されていることも多く、事実関係がシンプルであれば本人でも進めやすい類型です。
- 本人では難しいもの:法律の解釈が分かれる事案や、事実関係が複雑に入り組んでいる事案。何を立証すべきかの判断が難しいため、専門知識がないと予期せぬ敗訴を招く恐れがあります。
「依頼」はしなくても「相談」は重要
一度訴訟が始まると、予想外の反論を受けたり、難しい局面を突きつけられたりすることが多々あります。
「弁護士に依頼する予算がない」という場合でも、法律相談だけは受けておくことを強くお勧めします。
弁護士会や法テラス、各自治体の相談会などを利用すれば、数千円程度の費用(あるいは無料)で専門家のアドバイスを受けられます。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。「自分の進め方が正しいか」を確認するためだけにでも、プロの視点を入れることは非常に無難な選択です。
「自分一人で戦う」と決めた場合でも、法的な落とし穴を避けるためのチェックは欠かせません。訴状の書き方や証拠の出し方について、少しでも迷うことがあれば、大きなミスをする前に一度ご相談ください。