お金を貸したまま時間が経過してしまったり、交渉が長引いて連絡が途絶えてしまったりした場合、最も注意しなければならないのが「消滅時効」です。
旧民法下の債権(2020年3月以前に発生したもの)は、一般の債権で10年、商事債権で5年という期間が定められています。時効が迫っているとき、権利を守るためにどのような対策が取れるのでしょうか。
1. 訴訟提起による時効の「更新」
裁判所へ訴訟を提起すると、時効の進行はストップ(完成猶予)します。
さらに、判決が確定して請求が認められると、時効期間はその時点から新たに10年間に延長(更新)されます。最も確実な方法ですが、訴状の作成や証拠の整理など一定の準備期間が必要です。
2. 催告(内容証明)による「完成猶予」
「明日で時効が完成してしまう!」といった緊急事態には、相手方に支払いを求める「催告」が有効です。
催告を行うと、そこから6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。この期間内に訴訟の準備を進めることが可能です。
- 方法:後で「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、必ず内容証明郵便(配達証明付き)で行いましょう。
- 注意:催告による猶予は1回限りです。6ヶ月以内に訴訟などを起こさなければ、時効は完成してしまいます。
3. 相手方に認めさせる「承認」
相手方が「借金があること」を認めれば、時効はその時点でリセットされ、ゼロからカウントし直しになります。これを「承認」といいます。
- 一部だけでも返済を受ける
- 「いつまでに支払います」という念書を書いてもらう
- 支払猶予の申し入れを受ける
話し合いが続いているのであれば、取り急ぎ「債務を承認する書面」を作成してもらうのが非常に有効な対策となります。
4. 民法改正(2020年4月施行)による新制度
改正後の民法では、当事者間で「時効を遅らせて協議を続ける」という書面による合意があれば、最大1年(再合意で最大3年)まで時効の完成を遅らせることができるようになりました。現在はまだ旧法の債権が中心ですが、今後の実務では重要な選択肢となります。
時効が完成して権利が消滅してしまうと、後から取り戻すことは極めて困難です。「そろそろ危ないかもしれない」と感じたら、1日でも早く弁護士へご相談ください。状況に応じた最適な時効阻止の手続きをアドバイスいたします。