今回は前回の質問のうち,後半の「相続人の調査はどのように進めればよいのですか?」に回答します。

 

相続人の調査方法

 相続人の調査は,戸籍謄本,除籍謄本及び原戸籍謄本を収集することで行います。

 戸籍謄本は聞いたことはあると思いますが,除籍謄本というのは記載されていた全員が新しい戸籍に抜けてしまった古い戸籍,原戸籍というのは法律などによって自治体が戸籍の改製(書式を改めること)を行ったときに残る古い戸籍のことをいいます。

 謄本というのは,役所にある原本と全く同じであるとの証明付きの写しのことですが,現在は戸籍謄本という名称ではなく,戸籍全部事項証明書という名称で取得することになります(以下単に「戸籍」などと略します。)。

 

具体的な調査

 まず,相続人であるご自身の出生から現在までの戸籍,除籍,原戸籍を取得すると,被相続人と一緒の除籍または原戸籍にたどり着きますので,その後,その除籍または原戸籍の記載から,被相続人の死亡の戸籍または除籍,及び,各相続人の現在の戸籍まで,連続した形で戸籍,除籍及び原戸籍を取得していくことになります。

 そうすると,被相続人と相続人まで書類がつながっている形になりますので,その書類から相続関係図という家系図のようなものを作り,法律に当てはめて誰が相続人かを確定します。

 戸籍などは,一般的には自分以外のものは取得できませんが,相続を理由とすれば取得できます。

 なお,古い除籍や原戸籍はかなり達筆で書かれており,読み解くのに難しい場合もあります。

 一般的にはこのような調査で相続人を確定できます。

 

例外的に相続人が不明となる場合

 稀に,今おなかの中にいる被相続人の子,正式な手続きをしていなくて無戸籍になってしまっている子,認知などをしなかったため戸籍上から親子関係が分からない子などがいると,本来は相続人ではありますが,戸籍などの調査ではわからない場合もあり得ます。

 このような場合はかなり稀かとは思いますが,周辺情報を知っている方から話を聞くなどする必要があります。

 

質問への回答

 以上のとおり,まずは戸籍などを取得して調査することになります。ただし,取得は戸籍などを保管している自治体ごとにそれぞれ手続きが必要なので,大変面倒な作業です。弁護士などは職務上請求という形で戸籍などの収集ができますので,大変な場合は弁護士などへの依頼を考えてもよいかもしれません。

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