証券について
株式や国債など証券についても,証券会社や各金融機関に照会をかけることになります。
一般には,取引銀行を窓口にして購入などしている場合もありますので,その場合は,預貯金の照会の際に証券取引もある旨回答をいただける場合もあります。
証券も基本的には被相続人の手元にある資料から,ある程度目星をつけて照会をかけるのが一般的です。
無関係そうな証券会社などまで調査しようとすると,費用や労力の関係で大変になってしまうことは,保険などの調査と同様です。
不動産について
不動産は,市役所などの税務課で名寄証明書など(自治体によって名称は異なります。)の固定資産として登録されているリストを取得すれば,その自治体に存在する不動産は確認できます。
被相続人のお住まいがあるところの役所や,被相続人の実家があるところの役所などに,戸籍など相続人であることの証明を示して手続きすれば取得できます。
ただし,自治体によっては,同リストを見ただけでは,被相続人が固定資産税の納税義務者であることがわかるのみで,名義人までは判明しない場合があります。その場合には証明書取得後,法務局で不動産の全部事項証明書を取得すれば,正確な名義人が判明します。
借金について
借金についても金融機関などであれば預貯金同様照会をすれば判明します。
また,被相続人のご自宅の資料を調査し,借入の書類や返済の書類,メモなどから判明する場合もあります。
さらに,不動産の調査の中で,担保が発見され,借金の存在が判明するケースもあります。
もっとも,消費者金融や個人からの借り入れの場合,必ずしも判明しない場合もあります。
そこで,この場合,3か月から半年程度被相続人名で届く郵便物を確認し,そのような請求がきていないか確認すれば,特に消費者金融などに関しては判明すると思います。
この場合,相続開始を知ったときから3か月経過すると相続放棄申述ができなくなってしまいますので,相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所で申述期間の延長の手続きを行いましょう。
質問への回答
以上のとおり,それぞれの遺産についてそれぞれ手続きがありますので,根気強く行う必要があります。調査に長い期間がかかる場合には,相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所で申述期間の延長の手続きを行いましょう。どうしても難しい場合には弁護士に依頼するのも一つの方法です。