話し合いで解決案が決まったとしても、「本当に約束通り支払われるのか」「逃げられたらどうしよう」という不安は尽きないものです。ただの口約束や普通の書面では、相手が約束を破った際に、改めて裁判を起こして勝訴しなければ差し押さえができません。
今回は、万が一の際、裁判をショートカットして即座に強制執行(差し押さえ)ができるようにするための、3つの有力な解決形式をご紹介します。
1. 強制執行認諾文言付き公正証書
公証役場で公証人に作成してもらう公文書です。最も利用しやすく、強力な手段の一つです。
- 即効性のある強制力:「約束を守らない時は、直ちに強制執行を受けても異議ありません」という一文(強制執行認諾文言)を入れることで、裁判なしで給与や預金の差し押さえが可能になります。
- メリット:裁判所の手続きを通さずに作成できるため、当事者同士の合意さえあれば比較的スムーズに進められます。
2. 調停手続(調停調書)
裁判所の調停委員を交えて話し合いを行い、合意を目指す手続きです。最終的にまとまった内容は「調停調書」に記録されます。
- 確定判決と同じ重み:調停調書は、裁判の判決と全く同じ効力を持ちます。万が一履行されなければ、これに基づいて即座に強制執行が可能です。
- メリット:第三者(調停委員)が入るため、当事者だけでは話し合いが難しい場合でも合意に至りやすい側面があります。
3. 訴え提起前の和解(即決和解)
すでに話し合いがほぼまとまっている場合に、その内容を裁判所に持ち込んで「和解調書」を作成してもらう手続きです。
- 裁判所の太鼓判:訴訟になる前の段階で、裁判官の前で和解を成立させます。作成される和解調書も、判決と同じ強い効力を持ちます。
- メリット:本格的な訴訟を避けつつ、裁判所のお墨付きが得られるため、将来のトラブルを確実に防止したい場合に有効です。
【重要】書類があっても「ない袖は振れない」
注意が必要なのは、いくら強力な書類を作成しても、相手方に資産や収入がなくなってしまえば、物理的に回収はできないという点です。
- 条件の工夫:相手の支払い能力に不安がある場合は、不動産に「抵当権」などの担保を設定したり、「連帯保証人」を立てたりするなど、条件面でのリスクヘッジも検討すべきです。
合意はゴールではなく、実際に履行されて初めて解決と言えます。「どの形式で書面を作るのが最適か」「相手の資産をどう把握すべきか」など、確実な回収を目指すための戦略については、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。あなたの権利が形だけでなく、実利として守られるようサポートいたします。