トラブルが発生した際、当事者同士の話し合いが平行線になると「もう裁判しかない」と考えがちです。しかし、裁判には多大な時間と費用がかかる上、勝ち負けがはっきりつくことで関係が完全に断絶してしまうリスクもあります。
そこで注目されているのが、裁判所を通さずに第三者を交えて解決を図る「ADR(裁判外紛争解決手続)」です。今回は、ADRの種類やメリット・デメリットについて解説します。
1. そもそもADRとは?
ADR(Alternative Dispute Resolution)は、専門家などの第三者が間に入り、当事者双方の言い分を聞きながら柔軟な解決を目指す手続きです。裁判所の「調停」に似ていますが、より身近な民間機関や専門職団体が運営しているのが特徴です。
2. 分野別・代表的なADR機関
トラブルの内容に応じて、それぞれの専門知識を持った機関が窓口となっています。
- 弁護士会ADR:各都道府県の弁護士会が運営。経験豊富な弁護士が中立な立場で間に入ります。分野を問わず幅広い紛争に対応しており、スピーディーな解決が期待できます。
- 交通事故:「交通事故紛争処理センター」などが有名です。損害賠償額の提示や示談の仲介を無料または低額で行っています。
- 建築紛争:「建設工事紛争審査会」が、工事の欠陥や代金の未払いなどの専門的な問題を扱います。
- 金融・サービス:銀行や証券会社とのトラブルには、指定紛争解決機関(金融ADR)が対応します。
3. ADRを利用するメリット
裁判や調停と比較して、ADRには以下のような利点があります。
- 専門性が高い:その分野の専門家が担当するため、実務に即した妥当な解決案が出やすいのが特徴です。
- 迅速かつ柔軟:裁判所の手続きに比べて日程調整がつきやすく、話し合いの内容も当事者の事情に合わせた柔軟な調整が可能です。
- コストが低い:裁判費用に比べると申し立て手数料が安く設定されていることが多く、経済的な負担を抑えられます。
4. 知っておくべき注意点(デメリット)
非常に有用な手続きですが、万能ではありません。
- 強制力がない:あくまで話し合いの場であるため、相手方がADRへの出席を拒否したり、合意を拒んだりした場合は、解決に至りません。
- 時効の停止:裁判と異なり、ADRの申し立てだけでは時効が自動的に止まらないケースがあるため、期限が迫っている場合は注意が必要です。
「相手と直接話すのは限界だが、裁判は大ごとにしたくない」という場合、ADRは非常に有力な選択肢です。どの機関を利用するのが最適か、ADRで納得のいく解決ができる見込みがあるかなど、事案によって判断は異なります。
当事務所では、あなたの抱えているトラブルがADRに適しているかどうかの見極めや、申し立ての準備、ADRの場への同席など、円満な解決に向けたサポートを行っております。まずは一度、今のお悩みをお聞かせください。