財産分与において、預貯金のように「分けるのが簡単なもの」ばかりではありません。特に住宅ローンが残っている家や、将来の退職金、名義変更が必要な車などは、取り決め方を誤ると離婚後に大きなトラブルに発展します。特に注意すべき4つのポイントを整理しました。
1. ローン付き住宅の「居住者」と「名義人」の不一致
住宅ローンが残っている家を分ける際、最もリスクが高いのは「名義人(債務者)ではない側が住み続ける」ケースです。
- 支払中断のリスク:出ていった名義人がローンの支払いを止めてしまうと、銀行によって家が競売にかけられ、住んでいる側が強制退去を迫られる恐れがあります。
- 共有名義の場合:持ち分を分与して単独名義にするのか、そのまま持ち分を維持するのか、ケースバイケースの慎重な判断が必要です。
2. 退職金・保険など「目に見えにくい財産」
今手元にある現金以外にも、将来受け取る権利があるものも分与の対象になります。
- 保険(解約返戻金):今解約したらいくら戻ってくるか(解約返戻金相当額)を基準に計算します。
- 退職金:退職が間近で、受け取れる可能性が高い場合に限り対象となります。かなり先の退職で、もらえるか不確実な場合は対象外とされるのが一般的です。
3. 家財道具や車の「名義変更」
意外と忘れがちなのが、生活家電や車の扱いです。
- 家財:「現在持って行っているものはそのまま取得する」など、シンプルでも良いので合意を文書に残しましょう。
- 車の名義変更:利用する人と名義人が異なる場合、譲渡書類の準備など相手の協力が不可欠です。離婚成立後にスムーズに動いてもらえるよう、あらかじめ約束しておきましょう。
4. 要注意!離婚した瞬間に「保険」が切れる?
車を財産分与で受け取る場合、任意保険の「家族限定特約」には厳重な注意が必要です。
| タイミング | リスクと対策 |
|---|---|
| 離婚成立前 | 「家族」なので保険が適用されます。 |
| 離婚成立後 | 他人になるため、家族限定特約のままだと事故を起こしても保険金が降りません。 |
※特に調停離婚の場合、成立したその瞬間に「他人」となります。帰りの運転で事故を起こしても無保険状態になる恐れがあるため、事前に条件変更の手続きを済ませておきましょう。
[Image: A car and a calendar showing “Divorce Day” as a boundary where “Family Insurance Coverage” ends.]「家をどうすべきか」「将来の退職金はもらえるのか」といった問題は、住宅ローンの契約内容や勤務先の就業規則など、個別の状況によって正解が異なります。後悔しない財産分与のために、まずは現状の資産リストをもとに、リスクのない分け方を検討しましょう。
次回は、将来の生活を支える「年金分割」や、精神的な苦痛に対する「慰謝料」について詳しく解説します。