離婚にあたって、親権の次に対立が生じやすいのが「面会交流」と「財産分与」です。これらは「子供の健やかな成長」と「離婚後の経済的な自立」を支える重要な柱となります。それぞれの基本的な考え方と、注意すべきポイントを整理しましょう。
1. 面会交流:主役はあくまで「お子さん」
離れて暮らす親とお子さんが交流する「面会交流」は、親の権利である以上に、お子さんの健やかな成長を支えるための「お子さんの権利」です。
- 決めておくべき基本事項:面会の頻度(月に1回など)、時間の目安、お子さんの受け渡し方法、緊急時の連絡手段など。
- 関係性に応じた柔軟な設定:信頼関係がある場合は「詳細はその都度協議する」と柔軟に決めることもありますが、対立が激しい場合は、場所や時間、第三者機関の利用の有無などを細かく定めておく方がトラブルを防げます。
- 【重要】養育費との切り離し:「養育費を払わないなら会わせない」「会わせてくれないなら払わない」といった交換条件は法的に認められません。両者は全く別の義務であることを正しく理解しましょう。
2. 財産分与:夫婦の歩みを清算する
婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産は、名義がどちらであっても、離婚時に分け合う権利があります。これを財産分与といいます。
- 計算の基本:「現在の夫婦の全財産」から「結婚前から持っていた資産(特有財産)」や「相続・贈与で得た資産」を除外した残りを、原則として半分(2分の1)ずつに分けます。
- 清算の方法:不動産のように物理的に分けられないものは、どちらかが取得して相手に差額(代償金)を支払う、あるいは売却して現金を分けるといった方法で調整します。
3. 財産分与でトラブルになりやすい「5つの要注意項目」
単純な預貯金以外の財産については、以下のような複雑な問題が絡んできます。
| 項目 | 主な課題と注意点 |
|---|---|
| 住宅ローン・建物 | 債務者は誰か? 離婚後にどちらが住み、支払いをどう続けるか。 |
| 退職金・保険 | 将来もらえる退職金や、保険の解約返戻金をどう評価するか。 |
| 家財道具 | 大型家電や家具の所有権、搬出・処分の費用負担。 |
| 車 | 名義変更の手続きや、任意保険の条件変更の必要性。 |
財産分与を「とりあえず後回しにしよう」とすると、離婚後に相手と連絡が取れなくなったり、勝手に財産を処分されたりするリスクがあります。特に、名義変更の手続きには相手の協力が不可欠です。後腐れのない再スタートを切るために、合意内容は必ず書面(公正証書など)に残しておきましょう。
次回は、財産分与の中でも特に厄介な「住宅ローン」や「保険」などの個別問題について詳しくお話しします。