相手が支払ってくれない!!(債権回収の問題)(5)

その他

裁判で勝訴したり、公正証書を作ったりしても、相手の預貯金口座や勤務先がわからなければ、実際に「差し押さえ」を行うことはできません。かつては「逃げ得」が許されてしまうケースもありましたが、民事執行法の改正により、相手の財産を特定するための強力な手段が新設されました。

1. 財産開示手続:裁判所が債務者を直接「呼び出す」

財産開示手続とは、裁判所が債務者(支払うべき人)を呼び出し、自らの資産(預貯金、不動産、勤務先など)を正直に白状させる手続きです。

2. 第三者情報取得手続:銀行や役所から情報を直接得る

本人が嘘をついたり、隠したりするリスクに対応するため、裁判所が第三者(銀行や役所)に対して、債務者の情報を開示するよう命じる新制度です。

① 預貯金情報の取得

銀行などの金融機関に対し、口座の有無や残高を照会できます。
※相手に通知が行く前に差し押さえを行う必要があるため、スピード感が重要です(通知までは通常1か月程度の猶予があります)。

② 勤務先情報の取得

市町村や日本年金機構などに対し、相手がどこで働いているかを照会できます。
※この手続きは、養育費の請求や人身事故の損害賠償など、特定の債権に限って認められています。また、事前に「財産開示手続」を行っていることが条件となります。

③ 不動産情報の取得

法務局に対し、相手が所有している不動産の情報を照会できます。
※こちらも「財産開示手続」を先行して行っている必要があります。

調査対象 照会先 利用条件
預貯金 各金融機関 債務名義があれば可能(先行手続不要)
勤務先(給与) 市町村・年金機構等 養育費等の債権 + 財産開示手続の先行
不動産 登記所(法務局) 債務名義 + 財産開示手続の先行

これらの新制度により、「どこに資産があるかわからないから諦める」必要はなくなりました。しかし、各手続きには厳格な要件があり、申立書の作成も専門的です。相手が資産を隠したり使い切ったりしてしまう前に、新しい法律武器を正しく使って、確実な回収を目指しましょう。