配偶者からの暴力(DV)は、法的に「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められる正当な離婚原因です。しかし、DV案件は通常の離婚とは異なり、何よりも優先すべきは「生命と身体の安全」です。逃げる際の手続きや、裁判で勝つための証拠の残し方について解説します。
1. 最優先事項は「物理的な距離」を置くこと
DV加害者と同居したまま離婚の話し合いを進めることは、暴力の激化を招く恐れがあり非常に危険です。「話し合えばわかる」と思わず、まずは安全な場所へ避難しましょう。
- 避難先の確保:実家や友人の家、あるいは公的な「シェルター」を利用して、相手の届かない場所を確保してください。
- 住所の秘匿:住民票を移す際は、役所で「閲覧制限」の手続きを必ず行いましょう。これを怠ると、相手に新住所を調べられてしまいます。また、裁判所の手続きでも住所を秘匿する運用が可能です。
2. 相手を近づかせない「保護命令」の活用
別居後も相手が執拗に追いかけてきたり、職場に押し掛けたりする場合は、裁判所に「保護命令」を申し立てることができます。
- 接近禁止命令:6ヶ月間、あなたの身の回りや勤務先などの付近をはい回ることを禁止します。
- 退去命令:相手に対し、今の住居から2ヶ月間退去することを命じます。
- 電話等禁止命令:執拗なメールや電話を禁止します。
3. 裁判で勝つための「客観的な証拠」の集め方
裁判離婚や慰謝料請求を目指す場合、相手が暴力を否定しても裁判官が「DVがあった」と確信できる証拠が必要です。
| 証拠の種類 | 具体的な残し方 |
|---|---|
| 医師の診断書 | ケガをした際はすぐに病院へ。「配偶者に殴られた」と医師に伝え、診断書を書いてもらいます。 |
| 写真・動画・録音 | ケガの部位(複数アングル)、壊された家財道具の写真。暴言や暴行の録音・録画。 |
| 公的機関の記録 | 警察への通報履歴や、配偶者暴力相談支援センターでの相談記録。 |
| 詳細な日記 | 「いつ、どこで、どんな理由で、何をされたか」を継続的に記録。これも有力な証拠になります。 |
DV加害者は、警察や裁判所の前では「いい人」を演じ、あなたの主張を「被害妄想だ」と否定してくることが少なくありません。だからこそ、第三者が客観的に判断できる証拠を一つでも多く積み上げることが重要です。一人で悩まず、まずは弁護士や警察、女性相談センターなどの専門機関に頼ってください。あなたの安全を守りながら、法的に解決する道は必ずあります。