親御さんやお子さんなどご家族が問題を抱えた場合に,何か代わりに動いてあげたいという場合があります。
特に親御さんが高齢だったり,お子さんがまだ独り立ちしていかったりする場合には尚更です。
また,問題を抱えたご家族から相談を受けて動かざるを得ない場合もあるかと思います。
このような場合,法的にご家族が本人に変わって動くことはできるのでしょうか。
ご本人から委任を受けて動ける場合はある
一般に委任状などをご本人に作成してもらい,正式な委任を受けて動ける場合があります。例えば,銀行や携帯電話会社など,契約関係のやりとりなどです。
ただし,委任状が有効である必要はありますので,本人が委任状を作成する必要があるとともに,本人に十分な判断能力があることが前提となります。
また,法的に重要な事項は委任状があってもできない場合があります。
なお,有料で行なうと弁護士法違反になることがありますので,注意してください。
お使いのようなことは可能
本人からの言付けを伝えるというような,本人の意思によって,お使い的に動くことは可能です。これは使者というもので,法律的にも認められています。
ただ,この場合,あくまで判断は本人がすることが条件になりますので,勝手に判断して動くことはできません。
未成年者が本人の場合は親権者が動くことは可能
本人が未成年者の場合,親権者は法定代理人という立場で,正式に法的行為を本人に代わって行なうことが可能です。
高齢者の場合は?
他方で,高齢者の場合には,成年後見人が選任できれば,成年後見人が法定代理人になります。
この場合は,自らが成年後見人になれば,本人に代わって動くことができます。
法定代理人は本人に十分な判断能力がない場合に,本人に代わって法的行為を行なう者ですので,当然といえば当然です。
本人に代わって法律相談や依頼は可能か
仮に本人から委任を受けているとして,本人に代わって法律相談や弁護士を依頼することは可能なのでしょうか。
この場合,法律相談は,法テラスなどの制度利用の場合には,一部制限はありますが,基本的には可能です。ただし,本人しか知り得ない事情の中に重要な事実がある場合があり,この場合は本人が相談した方が良いことは言うまでもありません。
他方で弁護士の依頼は刑事事件の当番弁護などを除き本人に代わって行なうことはできません。
以上のとおり,ご家族が動くということにはいろいろと制限がある場合があります。
仮に動かざるを得ないとしても,本人の意思を確認するなど,注意して行動するようにしてください。