今回は,遺産分割についての合意書(遺産分割協議書)の記載についてお話ししたいと思います。
遺産の特定
遺産分割においては,相続人の特定と遺産の特定が前提となります。
相続人の特定は,戸籍等を収集して確認しますが,相続人全員での署名押印等を行うことになりますので,文言上特段記載はしないのが通常です。
遺産については,遺産目録を作成し,別紙の形で協議書に添付した上で,「共同相続人全員は,別紙遺産目録記載の財産が被相続人の遺産であることを確認する。」などと記載します。
分割方法ごとの記載方法
まず,単純に取得する遺産を定めるには,例えば,「共同相続人全員は,前項の遺産を次のとおり分割する。」とした上で,その下に,「○○は,別紙遺産目録記載1の土地及び別紙遺産目録記載3の株式を取得する。」などとそれぞれが取得する内容を記載します。
相続人の中に何も財産を取得しない人がいる場合には,「○○は,別紙遺産目録記載の遺産を取得しない。」などとします。
遺産分割協議においては,不動産など現実的には分けることが難しい遺産がある場合に,相続人の一人がそれを取得し,その上で,他の相続人に代償金を支払うという合意をすることがあります。
この場合には,「○○は□□に対し,前項の遺産を取得した代償として,令和○年○月○日限り,金○円を□□名義の口座(○銀行○支店 普通預金 口座番号○)に振り込んで支払う。ただし,振込手数料は○○の負担とする。」などと記載します。
相続に関連する事項
相続に関連することとして,遺産分割で多くもらう代わりに法事などの祭祀を承継する(今後法事などを執り行う)ことを決める場合があります。
この場合には,「○○家の祭祀は,○が承継し,○は仏壇・墓碑等を取得する。」などと記載します。