損害賠償については日本の法制度については,発生した損害を金銭的に埋め合わせるという制度をとっており,損害額の算定は差額説という,債務不履行や不法行為などがなかった状態と発生後の状態を比較して,その差を損害とみるという考え方を取っています。
他方で,個人自営業や会社など企業の営業損害の場合,売り上げが減少したことは明らかでも,経費が減っている部分があり,いくらが損害なのかわかりにくいところです。
そこで今回は営業損害の考え方についてお話ししたいと思います。
営業損害は売り上げの減少ではない
売り上げが減少すると一見,売り上げの減少分が営業損害のように感じる方も多いと思います。
しかし,例えば,全く休業した場合,売り上げは0円になりますが,かからなくなった経費もあると思います。例としては,電気代,水道代などの光熱費や,折り込み広告などの広告費などです。
したがって,このような費用も視野に入れて検討する必要があります。
固定費はかかり続ける
他方,固定費のようなものは休業してもかかり続けます。例えば,事務所や店舗の賃料などです。
したがって,固定費については,かかり続ける前提で算定することになります。
営業損害算定の概要
以上からすると,営業損害の算定については,簡単にいうと売り上げ減少分から,変動費(休業した場合にかからなくなる費用)の減少分を控除するということになります。
ただ,変動費と固定費の分け方は業種などにもよるので,難しい部分もあります。
営業損害の算定に関しては,以上のような形ですが,具体的に算定する場合に難しさもあります。現実に算定する必要がある場合には,一度弁護士に相談しましょう。