相手方にお金を貸したり、相手方が代金等を滞納したりなど、相手方が支払いをしてこない場合があります。
この場合、借用証や売買契約書があると、なぜ払わないのか疑問にはなりますが、そのような場合、一定の手続きをとることで回収を図ることが考えられます。
そこで、今回は、相手方が支払いをしてこない場合の手続(証拠がある場合)についてお話ししたいと思います。
債務名義を取得する手続
まず、一般的には借用証などは大変重要な証拠ではありますが、そのままですぐに回収の手続きを行えるわけではなく、債務名義という書類を取得する手続きを行う必要があります。
債務名義とは、差押など強制執行をする際に必要になる書類で、判決や調停調書、審判書など、だいたいは裁判所の手続きを行って作成されるものです(例外として強制執行認諾文言付き公正証書がありますが、このような書面まで作成されていることは稀です。)。
債務名義を取得する手続きには、裁判、調停の他、支払督促などがあります。
裁判や調停などは、時間はかかりますが、途中で和解などの合意が成立し、任意に支払ってくる可能性もある手続きです。
支払督促は時間がかからないですが、書面審査なので、任意支払いは通常難しい手続きと言えるでしょう。
強制執行
債務名義を取得した場合には、差押など、強制執行をすることができるようになります。
強制執行は裁判所に申立てをして、相手方の預金などを差し押さえたり、不動産や動産の売却をしてお金に換えてそれを回収するなどをする手続きです。
相手方の資産が判明している場合には、債務名義取得後にこの手続きを行うことで回収をはかります。
財産開示など
相手方の資産が判明していない場合にも、債務名義があれば、財産開示や第三者情報取得など、一定の資産調査手続きを行うことができます。
そこで資産が発見された場合、その資産に対して強制執行手続きを行って回収をはかります。
ただし、資産を持っていない場合、少なくとも現段階で回収することは難しい場合も多いので、注意が必要です(裁判などの前に資産隠しを行う可能性がある場合には、保全という手続で一定の資産を確保する方法もあります。)。