貸金請求などの一般的な民事事件について行う簡易裁判所の民事調停や離婚などの家事事件について行う家庭裁判所の家事調停を、弁護士を依頼しないで自分で申立てを行う、または、相手方として対応する場面があります。
その場合、調停自体初めてのことが多く、どうしたらいいか分からないこともありますし、調停委員から思わぬことを言われて混乱してしまうこともあるでしょう。
とはいえ、やり方によっては、調停でも合意が成立して問題が解決することも多くあります。
そこで、今回は、調停で合意を形成するために必要なことについてお話ししたいと思います。
調停とは
調停とは、民事調停や家事調停といった、裁判所の調停委員を挟んで相手方と話し合う手続きのことです。
調停委員という第三者が間に入ることで、話し合いを促し、合意が形成されれば、判決と同じ効力を持つ調書というものを取得できる手続きです。
調停で大切なこと
まず、調停は話し合いですので、白黒はっきりとさせる場ではありません。
お互いに言い分を言い合うのは構いませんが、裁判所の手続きとはいえ、訴訟とは違いますので、最終的にどちらが正しいということは決まりません。
あくまでお互いで合意を行うことを目的としますので、一定範囲で互いに譲歩するという姿勢が必要になります。
ですので、ある程度は譲歩することを視野に入れることが大切になります。
また、お話しをする際は、調停委員に対し話すことになりますので、調停委員に理解してもらえるような形で話しをする(あるいは証拠を出す)ことが大切になってきます。
話し合いの手続きと考えると、ややもすると、相手方が知っているはずと考えて、説明を省いたり、結論だけを話したりすることがあります。
しかし、そのような話の展開だと、調停委員は話し合いについていけず、適正な進行が困難になります。
第三者たる調停委員に事案の概要や考えなどをわかりやすく伝えることは大切です。
さらに、広い視野で話すことも大切です。
互いに感情的対応をしてしまうと、調停委員を挟んでも解決は遠のきますし、解決方法もどちらが飲むかという話になってしまい、膠着状態になってしまいます。
こうなると調停委員から調停の打ち切りや取り下げの打診を受けてしまうことになりかねません。
このようなことを避けるには、あくまで問題解決のためにはどうすれば良いかと考え、場合によっては第三案を出すなど、広い視野で進める必要があります。
なかなかそのような視野を持てない、相手方を許せないなどという場合には、調停をうまく進めるためにも、調停や交渉などが得意な弁護士に相談・依頼するのも一つの方法です。