書類や物などの証拠がない、または、少ない場合に、目撃者や同行者など、他人の記憶を証拠にしなければならない場面があります。
この場合、いわば証人の証言を証拠にするということになりますが、どのような方法になるのかイメージがわかないでしょう。
そこで、今回は、他人の記憶を証拠にする方法(証人・証言について)についてお話ししたいと思います。
それぞれの手続きで違ってくる
まず、前提として、他人の記憶を証拠にする方法は手続きによって異なってきます。
厳密な手続きが必要なものからそうでもないものまで、様々です。
以下、それぞれの手続きごとでお話しします。
裁判での証言の取扱い
まず、裁判では、証人尋問という方法で、他人の記憶を証言として証拠化します。
具体的には、裁判官や双方当事者の弁護士等から、一問一答形式で質疑応答することにより、証拠として取り扱われます。
証人尋問の結果は、調書という形で書類にもなり、判決などでも引用されます。
反対当事者からの質問も行うことで、信用性を確保するなどします。
調停などでの取扱い
他方、調停などでは一般的に尋問などではなく、陳述書という形で書面化して証拠提出することがあります(訴訟でも陳述書を出しますが、訴訟ではあくまで尋問がメインです。)。
調停でも尋問も可能ですが、そこまで行うことは多くはありません。
話し合いでの取扱い
話し合いでは、さらに自由な扱いが許されるため、例えば、証人から話を聞くなどして決めることも可能です。
あくまで話し合いは双方が納得すれば良いので、そのような方法もあり得ます。
もっとも、いずれの手続きでも、又聞き(あの人がこう言っていたという内容の別な人の証言)はあまり信用性が高くありませんので、注意が必要です。
また、証言の証拠としての力は、事案によっては弱いため、その点も注意を要します。できるかぎり書面等の証拠を確認して進めることが重要です。