相続に関して協議する際、相手方となる他の相続人が、遺産を管理するなどしている場合に、その内容を開示してこないことがあります。
最初は開示すべきか分からない場合もあると思いますので、必ずしも隠そうと考えているわけではないかもしれませんが、開示を求めても対応しないとなると、何か隠しているのではないかと考えてしまい、遺産分割協議が進まないことが多々あります。
遺産分割協議においては、概ね遺産が分かっている場合や、そもそも遺産が不要な場合、相続放棄を行う場合などは、開示は不要ですが、具体的に分けようとすると、開示が前提になることが一般的です。
そこで、今回は、他の相続人が遺産を開示してくれない場合にどうしたら良いかについてお話ししたいと思います。
独自に調査できる
相手方が一切遺産を開示してこないなど、遺産が不明な場合には、相続人であれば、遺産の調査を行うことができます。
相続人はそれぞれ、被相続人の権利を包括的に引き継ぐことになりますし、少なくとも潜在的には遺産の一部は自分のものということになるため、遺産について調べることができるのです。
具体的には、役所から名寄帳を取り寄せる、銀行などで残高証明や取引履歴を取得する、保振などで株式の所在を教えてもらうなどです。
相手方が開示に応じない場合、まずは自分でこれらの調査を行うことになります。
裁判所の調査嘱託等
また、裁判所での手続き(調停等)をしている場合、裁判所の調査嘱託などを利用して同様の調査を行うことができる場合があります。
もっとも、調査嘱託の場合、必要性や対象の点で、一定の条件を満たす必要があるため、独自調査よりも難しいかもしれません。
弁護士を依頼中の場合には、弁護士会照会という手段もあり、当該期間が回答してこない場合などに利用可能な場合があります。
全部の調査は困難
ただし、調査対象はある程度絞る必要があるため、全ての調査は困難です。
また、家にあるものや現金などは、調査する対象がなく、調査が難しいことがほとんどでしょう。
調査可能かどうかも含め、お悩みの場合には弁護士にご相談ください。