裁判の中で和解する訴訟上の和解というものがあります(以下、単に「和解」と言います。)。
一般に紛争がおきると協議して合意をする場合や、訴訟ではなく調停などで解決することもありますが、裁判の中で和解する場合と異なる部分もあります。
そこで、今回は、訴訟上の和解について(通常の合意や調停との違い)お話ししたいと思います。
協議や調停では
まず、協議や調停はいずれも話し合いで合意に至る手続きですが、合意するまでの間に裁判官のような判断者はいません。
調停の場合には、調停委員がいますが、調停委員は物事の善し悪しを判断する者ではなく、あくまで双方の話し合いを円滑にするための役割を果たします。
したがって、合意に至るには、一定の譲歩が必要であったり、相手方の話を十分に聞く必要があったりします。
訴訟(裁判)では
他方で、訴訟(裁判)では、最終的に裁判官が結論を判断しますので、判断者をはさんで和解の協議が行われます。
したがって、和解の際には、場合によって、裁判官から一定の判断が示されることがあります。
そのため、段階によってはそこまでの譲歩を要さない、または、かなりの譲歩を要する場合があります。
訴訟(裁判)の段階
訴訟は、争点整理や証拠提出を繰り返し、裁判官の心証が形成されます。
ですので、当初の段階では、裁判官も判断しかねる部分もあり、最初の方の和解は、協議や調停と似たような部分が出てきます。
他方で、裁判も終盤になってくると、裁判官の心証形成が一定程度なされているため、裁判官の考えを念頭においた和解ということになってきます。
特に証人尋問なども終わり、あとは判決のみという段階では、なされる予定の判決をベースとした和解になることもあります。
したがって、ある程度裁判の勝ち負けが影響しますので、弁護士に相談して訴訟での有利不利も考え、訴訟をするか、調停などの方で解決するかは考える必要があります。