不動産を売買する場合や相続する場合などに、不動産登記について名義変更をすることになりますが、その際、大昔の抵当権や売買の仮登記などが設定されていることがあります。

 そのようながついていると、不動産の売却時に価格が下落してしまう、または、買い受け希望者が現れにくくなってしまうなどの弊害があります。

 そこで、今回は大昔の抵当権設定登記や売買仮登記などを消す方法についてお話ししたいと思います。

 

登記を消すために必要なこと

 まず、抵当権などの登記を消すためには、大きく分ければ、被担保債権(その抵当権などで守られている債権)など、登記の原因となっている事実が消滅するか、設定した人(債権者など)が同意するか、いずれかの条件を満たす必要があります。

 大昔の抵当権の場合(例えば、何十年も前の貸金のために設定されている何十年も前の抵当権)、すでに弁済済みであったり、消滅時効にかかっていたりなど、すでに消滅していると評価できるものが多いです。

 仮登記などの場合も、例えば所有権留保の前提となる債務がすでに消えているなど、原因が消滅していることもあり得ます。

 ですので、適式な手続きを行えば、このような登記を消すことができることが多いです。

 したがって、このような場合、債権などが残っている状況でない限り、登記を消すことが可能です。

 

登記を消すための手続き

 抵当権など登記を消す場合、最終的には法務局で抹消登記手続を行うことになりますが、その際に、被担保債権の消滅などの抹消登記の登記原因(登記を消すことができる理由)について証明する書類を提出する必要があります。

 この書類については、弁済の場合は弁済の資料(領収証など)になりますが、消滅時効の場合は債務名義(判決など)になる場合が多いでしょう。消滅時効は時間の経過と援用の意思表示が必要ですが、時効が途中で止まるなどの事情があることもあるため、援用の意思表示だけでは証明とはいいづらいからかと思います。

 ですので、弁済の資料がない場合には、訴訟などを行う必要が出てきます。

 なお、抵当権の場合に債権額がかなり低額の場合(例えば、明治時代の抵当権などだと数百円の抵当権というものがあります。)には、法務局にその金額を供託して、弁済を証明し、登記を消すという方法もあります。

 

訴訟について

 もっとも、訴訟を行う場合でも、相手方が争ってくることはほとんどないため、形式的なものになることが多く、それほど難しくはありません。

 むしろ、債権者が死亡しており、その相続人を相手方にする必要があることから、戸籍等の調査をする必要がありますが、こちらの方が難航する場合が多いです。

 もっとも、調査も煩雑ですし、訴訟も関係するため、このような場合には、弁護士に相談した方が良いでしょう。

 

 

 

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