個人自営業や会社など企業の営業損害の算定方法

企業法務・顧問弁護士

交通事故や店舗の損壊、あるいは契約不履行などによって営業ができなくなった際、その損失をどう計算するかは非常に難しい問題です。

日本の法制度では「差額説」という考え方をとります。これは、「もし事故や不法行為がなかったら得られたはずの状態」と「現在の状態」を比較し、その差を損害とみなすものです。今回は、この考え方に基づく営業損害の計算ルールを整理します。

営業損害 = 売上の減少額、ではありません

売上が100万円減ったからといって、損害額がそのまま100万円になるわけではありません。なぜなら、休業したことで「支出を免れた経費」も存在するからです。

差額説の観点からは、これらの「支出を免れた分」は損害から差し引く必要があります。

休業しても発生し続ける「固定費」の扱い

一方で、営業を止めていても支払わなければならない費用があります。これが「固定費」です。

これらは売上がゼロになっても発生し続けるため、損害として認められるのが一般的です。算定式に直すと、以下のようになります。

営業損害 =(減少した売上高)ー(支出を免れた変動費)
※または「得られたはずの利益 + 発生し続けた固定費」と考えることもあります。

業種による算定の難しさ

理論上はシンプルですが、実務では「何が変動費で、何が固定費か」の区分けが非常に困難です。


営業損害の立証には、確定申告書、決算書、試算表などの膨大な資料を読み解き、説得力のある計算モデルを提示しなければなりません。相手方の保険会社から提示された金額が妥当かどうか、あるいは自社で請求を立てる際の見通しについて、ぜひ一度弁護士へご相談ください。