配偶者がギャンブルにのめり込み、家族に内緒で多額の借金を作っていたことが発覚したとき、将来への不安から離婚を決意される方は少なくありません。しかし、「借金=即、裁判で離婚成立」とは限らないのが実情です。浪費や借金が原因の離婚における注意点を整理しました。
1. 裁判で離婚が認められる「浪費・借金」のレベル
単に「パチンコで数万円使った」「内緒で少額のリボ払いがある」程度では、裁判で強制的に離婚を認めさせるのは困難です。法律上の離婚原因(婚姻を継続し難い重大な事由)と認められるには、以下のような深刻な状況が必要です。
- 家庭崩壊の危機:家族の将来のための貯金や子供の教育資金にまで手を付け、生活を破綻させた。
- 度重なる裏切り:何度も借金を肩代わりして「もうしない」と約束したにもかかわらず、隠れてギャンブルを再発させ、多額の負債を繰り返した。
- 生活費の不払い:借金返済のために給料を使い込み、家族に生活費を渡さなくなった(悪意の遺棄に近い状態)。
2. 財産分与への影響:その借金は「夫婦の負債」か?
通常、結婚生活中に作った負債(住宅ローンや生活費のための借り入れ)は、財産分与の際にマイナスの資産として合算されます。しかし、浪費による借金は扱いが異なります。
- 個人的な債務は除外:ギャンブルや過度な趣味、遊興費のために作った個人的な借金は、夫婦で分担すべき負債とはみなされません。そのため、分与されるプラスの財産から差し引く必要はありません。
- 寄与度の修正:一方の浪費があまりに激しい場合、公平の観点から、財産を分ける割合(原則2分の1)を調整できる可能性があります。
3. 慰謝料と「回収可能性」のシビアな現実
浪費によって婚姻関係を破綻させた配偶者に対し、慰謝料を請求することは可能です。しかし、ここで最大の問題となるのが「実際に払えるのか」という点です。
| 懸念点 | 対策と注意点 |
|---|---|
| 原資の不足 | そもそも借金まみれで手元にお金がないため、判決を取っても回収できないリスクが高い。 |
| 将来の不払い | ギャンブル癖がある場合、養育費の支払いも滞る可能性が高い。 |
| 保全策の検討 | 相手の親に保証人になってもらう、給与の差し押さえを想定して勤務先を特定しておくなどの準備が必要です。 |
浪費家・借金体質の配偶者との離婚では、「いくらもらえるか」よりも「いかに確実に確保するか」が戦略の鍵となります。相手が自己破産してしまうと、慰謝料などの請求がさらに困難になることもあります。手遅れになる前に、まずは相手の負債状況と資産状況を冷静に分析し、最善の逃げ道を確保しましょう。