遺産分割の話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面に残す必要があります。この書類は、銀行口座の名義変更や不動産の相続登記において不可欠な資料となります。
せっかく合意しても、記載内容に不備があると手続きがやり直しになってしまうこともあります。今回は、遺産分割協議書に盛り込むべき具体的な文言や記載方法について解説します。
遺産の特定と「遺産目録」
まず、どの財産を対象に話し合ったのかを明確にする必要があります。通常は、財産の一覧を「別紙 遺産目録」として作成し、協議書の冒頭で以下のように宣言します。
「共同相続人全員は、別紙遺産目録記載の財産が被相続人〇〇(氏名)の遺産であることを確認する。」
相続人全員で合意したことを示すため、協議書の最後には相続人全員が署名し、実印で押印します。
分割方法ごとの具体的な書き方
誰が何を取得するのかを、第三者が見てもわかるように具体的に記載します。
① 現物分割(そのまま取得する場合)
- 「〇〇(相続人氏名)は、別紙遺産目録記載1の土地及び同目録記載3の株式を取得する。」
- 何も取得しない人がいる場合:「〇〇は、別紙遺産目録記載の遺産を取得しない。」
② 代償分割(お金を支払って調整する場合)
特定の相続人が不動産などを取得する代わりに、他の相続人に現金を支払う場合は、支払い期限や振込先も明記します。
「〇〇は△△に対し、前項の遺産を取得した代償として、令和〇年〇月〇日限り、金〇円を下記口座に振り込んで支払う。なお、振込手数料は〇〇の負担とする。」[Image: Example of an Inheritance Division Agreement structure with clear sections for heirs, assets, and distribution methods]
相続に関連する付随事項(祭祀承継など)
財産だけでなく、お墓や仏壇の管理、今後の法事を誰が執り行うかを決めることもあります。これらは「祭祀(さいし)承継」と呼ばれ、以下のように記載します。
「〇〇家の祭祀は、〇〇(氏名)が承継し、同人は仏壇・墓碑等を取得する。」
遺産分割協議書は、一度作成して押印してしまうと、後から内容を変更するには再度全員の合意が必要になります。将来の紛争を防ぎ、スムーズな名義変更を行うためには、専門的なリーガルチェックを受けることが推奨されます。