遺産分割協議を成立させるためには、相続人「全員」の合意が不可欠です。しかし、名義が祖父母や曾祖父母のまま放置されている不動産などでは、相続人が数十人にのぼり、中には全く面識のない親族が含まれていることも珍しくありません。
連絡先すらわからない相続人がいる場合、どのように調査を進め、協議を行えばよいのでしょうか。その具体的なステップを解説します。
ステップ1:徹底した戸籍調査
まずは、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)を遡って取得し、相続人を確定させる必要があります。
- 自分でも取得できる?:相続人であれば、正当な理由(相続手続きのため)を添えて請求することで、他人の戸籍であっても取得可能です。
- 注意点:戸籍に記載されているのは「本籍地」であり、現在の「住所」ではありません。そのため、戸籍が揃っただけでは連絡を取ることはできません。
ステップ2:住所(住民票)の特定
相続人が確定したら、次は現在の住まいを特定します。親戚に聞いてもわからない場合は、「戸籍の附票」や「住民票」を取得することになります。
これらも個人情報ですが、遺産分割協議を行うという資料を提示すれば取得可能です。ただし、近年の個人情報保護の厳格化により、一般の方が窓口で手続きを行うのは非常に手間がかかり、難易度が高くなっています。
ステップ3:専門家(弁護士)への依頼とメリット
自力での調査が難しい場合、弁護士に依頼することで以下のようなサポートが受けられます。
- 職務上請求:弁護士の権限で戸籍や住民票を迅速に取得し、家系図を作成して相続人を特定します。
- 交渉の代理:疎遠な親族への最初の手紙送付や、その後の遺産分割案の提示・交渉をすべて任せられます。
- 不在者財産管理人の選任:万が一、生死不明や行方不明の相続人がいた場合でも、裁判所への特別な申し立て(不在者財産管理人の選任など)を通じて、手続きを法的に完結させることができます。
「弁護士に頼むと費用が心配」という方は、まずは戸籍集めを自分でやってみて、行き詰まったところだけスポットで相談するという方法もあります。
放置すればするほど相続人が増え、解決は困難になります。「誰が相続人かわからない」と気づいた今こそ、解決に向けた一歩を踏み出すタイミングです。