交通事故の賠償請求は、保険会社に任せきりにしてしまうと、いざ示談交渉が難航した際に「何が重要なのか分からない」と立ち往生してしまうことがあります。特に弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼する場合でも、初期の資料や対応が不足していると、納得のいく結果を得るのが難しくなります。
将来の適切な賠償のために、今から自分自身で気をつけるべき3つの重要なポイントを解説します。
1. 証拠は「鮮度」が命:資料の収集と徹底保存
時間が経つほど、事故現場の状況や人々の記憶は曖昧になります。客観的な「記録」を自分で確保しておくことが、最大の防御となります。
- あらゆる書類をコピー:警察や保険会社に提出する書類、病院の領収書、診断書などはすべてコピーを取るか、スマホの写真で保存しておきましょう。
- 現場・車両の写真:事故直後の車の破損状況、路面のタイヤ痕、現場の信号や標識の配置など、可能な限り多角的に撮影してください。
- ドライブレコーダーの保存:上書きされて消えないよう、事故時のデータはすぐに抜き出し、PCやクラウドに保存しましょう。
- 記憶のメモ:「どちらが先に交差点に入ったか」「相手は何と言っていたか」など、直後の記憶をメモに残すことが、後の過失割合の交渉で役立ちます。
2. 治療の「継続性」が慰謝料の評価を左右する
「むち打ち症」などは目に見えない怪我のため、通院の頻度がそのまま「怪我の重さ」の判断材料にされます。
- 定期的な通院の徹底:仕事が忙しくても、医師の指示に従い定期的に通院しましょう(一般的には週2回程度が目安)。通院の間隔が空きすぎると、保険会社から「もう治った」「事故とは関係ない痛みだ」と判断されるリスクが高まります。
- 自己判断で中断しない:保険会社が治療費の打ち切りを打診してきても、痛みがあるうちは医師と相談し、必要であれば自分の健康保険に切り替えてでも治療を続けることが、後の適正な賠償に繋がります。
3. 医師への申告は「些細な違和感」も漏らさず
診察の際、医師には体全体の症状をすべて伝える必要があります。
- 初動の申告が重要:事故直後は首が痛かったが、後から腰や足にもしびれが出てきた……という場合、最初の診断書に記載がないと、後から「それは事故後の別の原因だ」と否定されるおそれがあります。
- 自覚症状を具体的に:「雨の日に痛む」「朝起きたときにしびれる」など、些細に思えることでもカルテに残してもらうことが、将来の後遺障害認定において極めて重要な証拠となります。
| 注意すべきアクション | なぜ必要なのか? |
|---|---|
| 全資料のバックアップ | 保険会社のミスや、言い分の食い違いを防ぐため。 |
| 週2回程度の定期通院 | 入通院慰謝料の算定根拠を正しく評価してもらうため。 |
| 全身の痛みの申告 | 事故と怪我の「因果関係」を医学的に証明するため。 |
交通事故の賠償問題は、事故発生から解決までの「プロセスの積み重ね」で決まります。保険会社は手続きのプロですが、あなたの利益を最大化してくれる味方とは限りません。自分にできる準備を確実に行っておくことが、適正な解決への近道です。
次回は、事故現場での警察や相手方への対応について詳しくお話しします。「今の通院頻度で大丈夫か不安」「保険会社への回答に困っている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。