面会交流が実施されない場合の間接強制とは
約束された面会交流が実施されない場合に、相手方の履行を求める手段として、間接強制という制度があります。
面会交流の間接強制とは、家庭裁判所の調停や審判で定められた面会交流を同居親(義務者)が履行しない場合に、裁判所が「一定期間内に履行しなければ金銭を支払え」と命じることで心理的な圧力をかけ、自発的な履行を促す強制執行手続です。
面会交流は義務者自身の協力が必要な「不代替的作為義務」であり、子どもを無理やり連れてきて面会させる直接強制にはなじまないとされています。そのため、一般的には間接強制が用いられます。
間接強制が認められるための要件
間接強制が認められるためには、調停調書や審判書で「給付義務の内容」が明確に特定されている必要があります。
最高裁判所は、以下の事項が具体的に定められていることが必要であるとしています。
- 面会交流の日時又は頻度
- 各回の面会交流時間の長さ
- 子の引渡しの方法
例えば、「一月に一度、面会交流をする」という定めだけでは、頻度は特定されていますが、時間の長さや子の引渡方法が決まっていないため、間接強制は認められません。
一方で、「月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時まで」「子の受渡場所は協議し、協議が調わないときはJR〇〇駅東口改札口付近とする」といった具体的な定めがある場合には、給付の特定に欠けるところはないと判断されています。
したがって、調停や審判で面会交流条項を作成する際は、将来の不履行を見越して、間接強制が可能となるよう具体的に定めることが重要です。
手続の流れ
間接強制は、面会交流を定めた調停または審判を行った家庭裁判所に申し立てます。
申立てがあると、裁判所は要件を審査し、要件を満たす場合には債務者(同居親)を審尋した上で、間接強制決定の可否を判断します。
決定がなされると、不履行1回あたり一定額の間接強制金の支払いが命じられます。
決定に従わない場合は、財産の差押えなどの金銭執行手続によって強制的に徴収されることになります。
間接強制の限界と認められない場合
間接強制にはいくつかの限界があります。
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子の強固な拒否
一定の年齢に達した子が明確かつ強固に面会交流を拒否している場合、履行不能として間接強制が認められないことがあります。 -
金銭支払いに留まる
間接強制は金銭支払いを命じる制度であり、必ずしも面会交流の実現を保証するものではありません。 -
事情の変更
決定後に事情が変わり面会交流内容が変更された場合、権利濫用として執行が許されないことがあります。
間接強制ができない場合の対応策
調停調書や審判書の内容が具体的でなく間接強制ができない場合でも、対応策はあります。
まず、家庭裁判所に履行勧告を申し立てる方法があります。強制力はありませんが、不履行を裁判所の記録として残すことができます。
その記録を証拠として、再度面会交流の審判を申し立て、不履行が悪質であることを主張し、間接強制が可能な具体的内容の審判を求めることが考えられます。