別居中の生活費(婚姻費用)や離婚後の養育費は、一度決めたら最後までその金額のままというわけではありません。数年、数十年という長い月日の間には、仕事や家族構成など、生活環境が大きく変わることもあるからです。
今回は、一度決まった婚姻費用・養育費を「増やす(増額)」または「減らす(減額)」ためのルールと注意点について解説します。
1. 増額・減額が認められる「事情の変更」とは
審判、調停、公正証書などで決定した内容であっても、合意当時に予測できなかった大きな変化があれば、金額の見直しを請求できます。
- 収入の変化:失業、転職による大幅な減収、あるいは相手方の予期せぬ増収など。
- 家族構成の変化:再婚して扶養家族が増えた、新たな子供が生まれたなど。
- 教育費・医療費:子供の進学(私立校入学など)や病気により、多額の費用が必要になった場合。
※ただし、収入のわずかな増減など、生活に与える影響が軽微な場合は認められないことがあります。
2. 変更のための手続きの流れ
まずは当事者同士での「協議(話し合い)」から始めますが、感情的な対立もあり、スムーズに進まないケースが多いのが実情です。
- 協議:双方が合意すれば、書面を作成して金額を変更します。
- 調停:話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に「婚姻費用(養育費)増額・減額請求調停」を申し立てます。
- 審判:調停でも合意に至らない場合は、裁判官が一切の事情を考慮して決定を下す「審判」へと移行します。
3. やってはいけない!「一方的な支払い停止・減額」
ここが最も重要なポイントですが、減額請求の手続き中であっても、勝手に支払いを止めることはできません。
- 合意の継続:新しい金額が決定(調停成立や審判確定)するまでは、従前の取り決めが有効です。
- 滞納のリスク:勝手に減額して支払うと、単なる「滞納」とみなされます。相手が公正証書や審判書を持っている場合、給与差し押さえなどの強制執行を受けるリスクがあるため、非常に危険です。
※減額が認められた場合、申し立て時に遡って差額を調整(清算)できることがありますが、まずはこれまでの金額を支払い続ける必要があります。
婚姻費用や養育費の変更は、現在の双方の収入を算定表に当てはめるだけではなく、個別の事情(再婚相手の収入や学費の分担など)をどう評価するかが鍵となります。
「今の状況で減額が認められるか知りたい」「相手から増額を迫られて困っている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。最新の算定基準に基づき、妥当な金額についてアドバイスいたします。