自己破産の手続きを進める際、最も時間と労力がかかるのが「書類の準備」です。なぜこれほど多くの書類が必要なのか、戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。
裁判所は提出された書類を通じて、「本当に支払いが不可能な状態か」「隠している財産はないか」を厳格に判断します。今回は、代表的な必要書類とその理由について解説します。
1. 住所を証明する書類(住民票など)
破産申立は、原則として居住地を管轄する裁判所に行う必要があります。そのため、まずは住民票で現住所を確認します。
- 注意点:住民票の住所と実際に住んでいる場所が異なる場合は、公共料金の領収書など「実際にそこで生活していること」を証明する書類が別途必要になります。
2. 収入を証明する書類(給与明細・源泉徴収票など)
「債務超過(借金が多すぎて返せない状態)」であることを証明するために不可欠です。直近数ヶ月分の給与明細や昨年度の源泉徴収票、確定申告書の控えなどを準備します。
- 非課税世帯などの場合:生活保護受給証明書や年金振込通知書などがこれに該当します。
3. お金の流れを確認する書類(預貯金通帳の写し)
資産の有無だけでなく、過去の収支の動きを確認するために提出します。裁判所によって異なりますが、一般的に直近1〜2年分のすべての記帳内容をコピーして提出します。
- チェックされるポイント:使途不明な大きな出金はないか、特定の債権者だけに優先的に返済(偏頗弁済)していないかなどが厳しくチェックされます。
4. 資産価値を測る書類(車検証・保険証券・不動産登記など)
一定以上の価値がある資産は、換価(お金に換えて債権者に配当)の対象となります。その判断材料として以下の書類が必要です。
- 車:車検証のコピー。年式によっては査定書が必要になる場合もあります。
- 保険:保険証券のほか、「今解約したらいくら戻ってくるか」を示す解約返戻金計算書が必要になります。
- 不動産:全部事項証明書(登記簿謄本)や固定資産評価証明書など。
5. 借金の状況がわかる書類(督促状・利用明細など)
どこから、いくら借りているのかを正確に把握するために、借入先の一覧表(債権者一覧表)を作成します。手元にある督促状や利用明細などはすべて保管しておきましょう。
これらの書類の多くは、プライバシーやセキュリティの観点から、弁護士であっても代わりに取得できない(ご本人が取り寄せる必要がある)ものです。書類の「鮮度」も重要なため、集めるタイミングについては弁護士と密に連携をとることがスムーズな申立のコツです。