債権回収の主な方法
債権回収の方法は、大きく分けると、債務者(支払義務者)に任意に支払ってもらえるように 交渉などによって回収する方法と、 裁判所などの手続きを利用して強制的に回収する方法があります。
それぞれの方法には、相手方の対応や資力などによりメリット・デメリットがあります。 そのため、各種方法の特徴を踏まえながら、事案に応じて適切な方法を選択することが重要です。
任意の債権回収と交渉
任意に支払ってもらう方法としては、主に債務者との交渉による回収があります。 具体的には、以下のような方法が考えられます。
単純な連絡・督促・請求
電話やメール、郵便などで支払いを求めるなどして、債務者に支払を促します。 最も簡単で費用もかからない方法ですが、相手方が支払わない場合には 強制力がないという点に注意が必要です。
内容証明郵便の利用
内容証明郵便とは、誰が、いつ、どのような内容の書面を誰に送ったかを 郵便局が証明する特殊な郵便です。配達証明を付けることで、 相手が受け取った事実も証明することができます。
請求内容が証拠として残るため、将来的な裁判手続きにも有利に働きます。 また、法的手段を検討していることを示唆できるため、 債務者に対して心理的プレッシャーを与える効果もあります。
ただし、一定の費用がかかる点と、あくまで任意の支払いを求める手段であり 強制力があるわけではない点には注意が必要です。
交渉の進め方
交渉では、相手方の任意の支払いを促すことが目的となるため、 分割払いの提案や支払期限の調整など、状況に応じた柔軟な対応が必要になります。
また、交渉の過程を記録として残しておくことで、 将来的に裁判などに発展した場合にも有利に進めることが可能になります。
訴訟以外の法的手段
任意の交渉による解決が難しい場合でも、すぐに訴訟を行うのではなく、 中間的な法的手段を利用することも可能です。
執行認諾約款付き公正証書
公証人が作成する文書で、債務者と公証役場に出向き合意内容を公正証書として作成します。 この証書には強制執行を認める条項を付けることができ、 約束が守られない場合には裁判を経ずに強制執行が可能になります。
即決和解
当事者間で合意が成立している場合、裁判所で和解を成立させる手続きです。 和解が成立すると、判決と同様の効力を持つ文書が作成されます。
民事調停
裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを行う手続きです。 双方が合意すれば、調停調書が作成され、 判決と同様の法的効力が生じます。
支払督促
債権の内容に争いがなく、書面などで証明できる場合に利用できる手続きです。 裁判所書記官が支払いを命じる制度で、 比較的簡易な手続きで強制執行が可能な書面を取得できます。
保全処分(仮差押)
裁判などの手続きを待っている間に債務者が財産を処分してしまうおそれがある場合、 裁判所に申し立てて債務者の財産を一時的に差し押さえる手続きが 仮差押(保全処分)です。
財産隠しを防止できるだけでなく、債務者に対して 強いプレッシャーを与える効果もあります。
ただし、裁判所に担保金を納める必要があるなど、 手続きのハードルがある点には注意が必要です。
訴訟手続き
債権の内容や事実関係に大きな争いがある場合など、 これまでの方法で解決できない場合には、 最終手段として訴訟を提起することになります。
通常訴訟
時間はかかるものの、判決が確定すると 強力な債務名義(強制執行の根拠となる文書)を取得できます。
少額訴訟・手形小切手訴訟
一定の条件を満たす場合に利用できる、 迅速な解決を目的とした訴訟制度です。
強制執行
訴訟や調停、支払督促などによって 債務名義(判決・調停調書など)を取得した後は、 裁判所や執行官が権利内容を実現する 強制執行を行うことが可能になります。
ただし、債務者に財産や資産がない場合には 回収できない可能性もあり、 費用倒れとなるリスクがある点にも注意が必要です。