古い抵当権が残っている場合の対処法
購入する不動産や相続した不動産に、大昔の抵当権がついているケースがあります。 このような場合、抵当権が残っていると売却などの処分ができないなど、不利益が生じます。
そのため、不要な抵当権は法的手続によって抹消することが重要です。 特に、被担保債権が消滅時効にかかっている場合には、一定の方法で抹消が可能となります。
抵当権抹消の主な方法
- 付従性による消滅の主張:被担保債権が時効消滅すれば、抵当権も当然に消滅する
- 抹消登記手続請求訴訟:相手方が協力しない場合に裁判で抹消を求める
- 抵当権自体の消滅時効の主張:第三取得者等に限り例外的に可能
実務上は、付従性による消滅の主張と、抹消登記手続請求訴訟が多く用いられます。
1. 被担保債権の消滅時効と抵当権の関係
抵当権は特定の債権を担保する権利であり、付従性を有します。 そのため、債権が時効により消滅すれば、抵当権も当然に消滅します。
この消滅は、登記を抹消しなくても第三者に対抗することが可能です。
2. 時効援用と注意点
時効の援用
抵当権を消滅させるためには、時効の利益を受ける意思表示(援用)が必要です。 物上保証人や第三取得者も援用することができます。
時効の更新(中断)
主債務者が債務を承認するなどした場合、時効は更新されます。 この効力は物上保証人や第三取得者にも及ぶため、更新があると抵当権の消滅は主張できません。
したがって、時効が完成し、かつ更新されていないことの確認が重要です。
3. 抵当権抹消登記の手続
共同申請
原則として、不動産所有者(登記権利者)と抵当権者(登記義務者)が共同で申請します。
そのため、時効援用後は相手方と交渉し、必要書類を取得して登記申請を行います。
抹消登記手続請求訴訟
抵当権者が協力しない場合には、裁判を提起します。
- 所有権に基づく物権的請求
- 契約に基づく債権的請求
いずれかの法的構成により、判決を取得して単独で抹消登記を行うことが可能です。
結論
被担保債権が時効にかかっている場合、まずは抵当権者の協力を得て共同申請を行うのが基本です。
しかし、協力が得られない場合には、抹消登記手続請求訴訟を提起し、判決によって抹消することになります。
その際には、以下の点が重要となります。
- 弁済期の確認
- 時効完成の確認
- 時効更新(中断)の有無
- 明確な時効援用の意思表示
なお、時効の中断事由については、主張する側に立証責任があるため、必ずしもこちらが不存在を証明する必要はありません。