企業間取引契約の重要ポイント解説

企業法務・顧問弁護士

商取引契約における基本的な法的枠組み

商取引に関する契約を締結する際には、民法に加え、商法の規定が適用される場合があります。 特に、当事者の一方または双方が商人(会社など)である場合、商法が適用される可能性があり、民法の特則が定められている点に注意が必要です。

また、継続的な商取引を行う場合、個々の取引に共通する基本的事項を定めた取引基本契約と、個別の取引条件を定める個別契約を組み合わせて用いることが一般的です。 これにより、取引関係の安定化や、反復・継続する取引の簡素化・迅速化を図ることができます。


取引基本契約と個別契約の役割と関係

取引基本契約とは

企業間(商人間)で反復継続して行われる取引全体に共通して適用される基本的事項(契約期間、決済条件、品質保証、紛争処理など)を定める契約です。

取引の画一的処理や予測可能性の確保、債権保全などを目的とした全体的な条項を定めます。

個別契約とは

基本契約に基づき、個々の取引における具体的な条件(目的物の品名・仕様、数量、価格、納期、支払方法など)を定めます。

これにより、具体的な商品の引渡義務や代金支払義務が発生します。

優先関係

通常、個別契約で取引基本契約と異なる定めをした場合は、個別契約の規定が優先すると定められます。


取引基本契約における主要な注意点

個別契約の成立方法

どのような手続きで個別契約が成立するかを明確に定めることが重要です。

品質保証と検査

売主が仕様適合性や品質を保証する旨を定めます。

商人間売買では、買主は目的物受領後、遅滞なく検査し、瑕疵を発見した場合には直ちに通知する義務があります(商法526条)。 この検査義務の具体的内容を契約で明確化することが重要です。

完全合意条項

契約書記載事項が当事者間の完全な最終合意であり、締結以前の口頭・書面による合意は効力を失うことを確認する条項です。

契約解釈を巡る紛争の予防に有効です。

契約変更手続

契約内容の変更は、双方代表者が記名押印した書面によってのみ行うと定めることで、安易な変更や紛争を防止できます。


電子商取引における特有の注意点

適用法令とリスク

電子商取引には、民法・商法のほか、「電子消費者契約法」などの特別法が適用される場合があります。

契約成立時期の不明確さや電子データ改ざんのリスクにも注意が必要です。 経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」も参考になります。

利用規約(定型約款)の組入れ

ウェブサイトの利用規約は、民法上の定型約款として契約内容に組み込まれる場合があります。

1. 組入れの要件

相手方が規約内容を認識できる措置が必要です。

2. 不当条項への注意

事業者の故意・重過失による損害賠償責任を免責する条項など、信義則に反し相手方の利益を一方的に害する条項は、契約内容とならない可能性があります。


その他の一般的な注意点

当事者の特定

契約当事者の商号や本店所在地を正確に記載し、相手方を明確に特定することが重要です。

特に、親会社・子会社関係は信用力に影響するため慎重な確認が必要です。

契約の目的

契約締結の経緯や目的を前文(WHEREAS条項など)に記載することで、将来の条項解釈に役立ちます。

消費者との取引

相手方が一般消費者の場合、消費者契約法や特定商取引法が適用されます。

これらの法律は、書面交付義務や説明義務、不当勧誘の規制などを定めており、事業者にはより厳格な対応が求められます。