要件事実のお話(法律の仕組みと主張立証の関係)

その他

法的な解決を行う場合、紛争の当事者が双方の考えをぶつけて話し合い、それでも決着がつかないと最終的には裁判になるということになります。

裁判においては、主張立証(つまり、言い分を言い合い、その裏付けを出すこと)を繰り返し、最終的に裁判所が判断を下すことになりますが、ご本人が裁判をする場合、仕組みが分かっていないと、的外れな主張立証を繰り返してしまい、結果として敗訴してしまうということがあり得ます。
また、話し合いを行うにしても、根本的な仕組みは変わらない点もありますので、話し合いにおいても法律の仕組みを理解しておくことは重要です。

そこで、今回は、要件事実のお話(法律の仕組みと主張立証の関係)についてお話ししたいと思います。

法律の仕組み

法律を適用して物事を解決する場合、法律の仕組みが関係してきます。
法律は「要件事実」「法律効果」から成り立っており、一定の法律の条文の要件事実が全て満たされたときに法律効果が発生するということになっています。

そして、要件事実は、当事者に争いがない事実は、主張するだけで良いですが、争いがある場合には、それを主張することで有利になる側が基本的に証拠を出す必要があります。
そのような仕組みを組み合わせることで、最終的な結論が出ます。

具体例(お金の貸し借り)

例えば、お金を貸したから返してほしいという裁判を起こすとします。
お金の貸し借りは消費貸借契約という契約ですが、法律上、以下の2点が要件事実になっています。

  1. お金を渡すこと
  2. 返済約束(返還の合意)

そのため、お金を渡しただけでは、貸し借りとは言えませんし、返す約束はしたがお金のやりとりは不明という場合も返せとは言えません。
お金を渡したことと返済約束の双方が主張立証されて、初めて「返還請求権」という法的な効果が発生します。

「返した」という主張(抗弁)

他方で、お金を渡したことや返済約束には争いがないが、「もう返した」という主張がされている場合には、貸した側が「返されていないこと」を立証する必要はなく、返したという側が「返した事実」を主張立証することになります(これを抗弁といいます)。

たまにそのあたりがごっちゃになり、相談の際に、お金を渡したのだから返す義務がありますよねとか、返されてないということの証拠がないから難しいですよねなどといった相談がされることがあります。
お金を渡したとしても、返す約束が必要ですし、仮に返す約束までなされていれば、返されていない証拠までは不要です。

以上のとおり、法律には独特の仕組みがあります。悩んだ場合には弁護士に相談してみましょう。