一般に,裁判を起こすのは請求するものがある側です。しかし,しつこい請求はあるものの,一向に裁判などはされず,困ってしまうこともあり得ます。
裁判を起こすのは義務ではないため,裁判を起こさずに請求を繰り返すことも違法ではありませんが,請求される側としては,精神的に落ち着かないなど,それなら裁判をしてほしいと思うこともあります。
そういった場合に請求される側が行える裁判が債務不存在確認訴訟です。
今回はこの債務不存在確認訴訟についてお話ししたいと思います。
債務不存在確認訴訟とは
債務不存在確認訴訟とは,簡単にいうと,債務がないことを確認する裁判です。
請求される側が,請求させるものがないということを確定するために行う裁判で,判決では債務がないことが確定され,その後は相手方が請求できなくなるという裁判です。
一部債務がある場合は?
債務がないとはいっても,一部は債務があるということがあります。
例えば,相手方が300万円を請求してきているが,こちらは100万円については認めていて,200万円について争いたいという場合です。
こういった場合でも債務不存在確認訴訟を利用できます。
この場合,100万円を超えては債務がないことを確認する裁判を行い,勝訴すると100万円を超える部分についてないことが確定します。
訴訟物についての問題
若干難しい話になりますが,裁判の対象を訴訟物というのですが,債務不存在確認訴訟では,債務がないことが訴訟物になります。
一部債務不存在確認訴訟の場合,先ほどの例では100万円を超える部分が訴訟物ということになります。
ですので,認めている100万円については,確認をするわけではありません。
相手方がその請求について確認や請求したい場合には,反訴をすることになります。
確認の利益
なお,債務不存在確認訴訟を起こす場合には,確認の利益というものが必要です。
例えば,請求がしつこいなど,確認する必要がある状況にあることです。
ですので,全く何も請求がないなどの場合には,債務不存在確認訴訟の提起はできない(却下される)可能性がありますので,ご注意ください。