紛争やお悩みがある場合にこれがこうなれば何もかも解決するのにと考えてご相談に来られる方もいらっしゃいます。
特に法律といえば、一つのことには一つの結論しかないイメージがあり、法律相談ではよりそのような方向の相談をされやすくなります。
しかし、実は法律というものも問題解決の一つの手段であり、必ずしも一つの結論になるとは限らないのです。
そこで、今回は法律相談において解決する方法は一つしかないのかについてお話ししたいと思います。
法律の仕組み
法律は、事実をあてはめれば一つの結論が出るような仕組みになっています。
あてはめる事実が異なれば結論が異なりますし、法律の解釈によっては結論が変わることがありますが、構造としては、同じ事実に違う結論が出ることはありません。
しかし、法律はたくさんあり、法律同士の関係がはっきりしないこともあります。
したがって、どの法律をあてはめるかで結論が異なってくることはあり得ます。
解決方法の多様性
そして、特に民事法の領域では、必ずしも一つの正義があるわけではなく、法律も手段であるという側面があります。
例えば、家を貸している場合に、賃料を滞納したとして、出て行ってほしい場合もあれば、出ていかなくてもよいが賃料を払ってほしいということもあるでしょう。
この場合、出て行ってもらうときにあてはめる法律の条文と、お金を支払ってもらう法律の条文は別々ですので、自分が実現したい方の法律を手段として使うことになります。
法律だからといって、出ていかなくてよいと考えている場合でも出ていかせなくてはならないということはありません。
より広い視野があると解決しやすい
そうすると、一つの解決方法しか思いつかなければ、使用できる法律や制度も少なく、その法律適用などが難しい場合には、行き詰ってしまいますが、何通りもの解決方法があれば、より利用しやすい法律を用いることができることになります。
ですから、問題解決の観点からいえば、より広い視野で考えることが重要になってきます。
そして、お悩みが深くなればなるほど、視野を広くもつことは難しくなります。
そういう場合には弁護士などに相談して、より広い視野で検討してみることは大変有用だと思います。