離婚の協議を行う中、なかなか協議が進まず、やむを得ず調停を申し立てることがあると思います。
場合によっては、最初から協議をあきらめて、調停を申し立てる場合もあるかもしれません。
ただ、調停での離婚は協議での離婚と異なるところもあり、混乱してしまうこともあるかもしれません。
そこで、今回は、調停離婚での注意点(協議離婚との違い)についてお話ししたいと思います。
協議離婚の場合(前提)
協議離婚の場合、離婚届の提出によって離婚することになります。
当然ですが、離婚届には提出期限などがあるわけではなく、離婚届が受理されると離婚になるという仕組みになっています。
その場合、アンケートのような部分はありますが、特に条件を記載する欄はないため、離婚条件(財産分与や養育費など)は,別に離婚協議書などを作成しておいた方が良いことになります(もっとも、離婚協議書は離婚の要件ではないため、任意ではあります。)。
そして、離婚協議書はあくまで合意書に過ぎず、万が一破った場合は裁判などをしなければ強制執行はできないため、すぐに強制執行ができるように強制執行認諾文言付公正証書を作成しておくこともあります。
なお、離婚の際の年金分割はただの協議書では手続きできず、公正証書等を作成する必要があります。
調停離婚の場合(協議離婚との違い)
他方で調停離婚の場合、離婚自体は調停が成立したときに離婚となります。
もっとも、自動的に戸籍に反映されるわけではないので、報告という趣旨で離婚届を提出します。
このとき、離婚はすでに成立しているので、相手方の押印などは不要で、離婚届と一緒に調停調書を添付すれば、戸籍上も離婚となります。
また、離婚条件に関しても調停調書に記載することになりますので、改めて別途の書類を作成する必要はありません(離婚調書には様々な離婚条件が記載してあり、離婚届の際にその調書を提出すると、不必要な情報を渡してしまうことになりますので、一般的には、各条件を記載した調書とは別に、離婚と親権のみが記載してある離婚調書も発行してもらうことが多いです。)。
ただし、離婚調書は、裁判所が発行する書類ですので、公正証書の作成をしなくても調停調書で強制執行が可能ですし、年金分割も可能です。
なお、離婚調書は裁判所が発行する書類ですので、当事者は押印しません。