法的な契約や合意は口頭でも成立すると解釈されており、少なくとも日本では、口頭でも合意することは可能になっています。
そして、何も争いが起きない場合、約束どおり代金が支払われる、商品が引き渡されるなど、債務が履行され、契約が実現されます。
しかし、争いになってしまった場合、いわゆる口約束でも十分かは別問題です。
そこで、今回は口約束では不十分なのかについてお話ししたいと思います。
口約束の性質
口約束も法的には意思表示が合致したことになり、契約や合意が成立します。
そして、契約や合意が成立する以上、法的な効果として、その合意上や契約上の義務が双方に発生します。
もっとも、口約束の性質として、あくまで記憶に残るだけであり、物的な証拠が残りにくいことがあります。
すなわち、文書などのようなものがないので、その点が法的な紛争には影響してきます。
口約束の不十分さ
証拠がない、証拠が不十分ということは、民事的な争いが紛糾し、裁判所の手続きになったとき、または、弁護士が入っての交渉になった場合など、一定の証拠を要求されるような場面で、合意の成立を証明できないということになります。
ですので、特に裁判などでは、合意などがなかったように扱われてしまい、合意の成立を主張している方(合意を根拠に請求している方)に不利に扱われる可能性が高くなります。
音声データがある場合には
もし口約束でも音声データが残っている場合には、一定の証拠があることになるので、不十分さは一定程度解消されます。
もっとも、一般的には、口約束では、いちいち細かい条件などは決めていないことが多く、その点でも合意として不十分な場合が多いです(例えば、養育費の金額は決めたが、いつまでに支払うか決めていないなど)。
ですので、音声データがあっても、完全とはいえません。
以上のとおり、口約束は不十分なことが多いので、できれば重要な合意では合意書などの書面を作成しましょう。書面の作成においては、できれば弁護士など専門家に相談した方が良いでしょう。