弁護士に法律相談する、依頼する、裁判所で調停や裁判をするといった場合に、紛争の当事者が作成した案をかなり細かく訂正することがあります。
特に、合意書や調停調書、和解書などを作成する場合、同じような内容にもかかわらず、細かく訂正されたという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
このような訂正など文書の細かい確認がなされるには理由があります。
そこで、今回は弁護士や裁判所が文案を細かく訂正するのはなぜかについて、どのような点が訂正されるかにも触れながらお話ししたいと思います。
訂正の理由
法的な合意を行う場合、当事者のみならず、第三者も文面を理解できる必要があります。
いったん合意した内容が後日争われることもある(弁護士や裁判所はよく経験します。)ため、裁判所など終局的な紛争解決を行う場合、再度紛争になるような状況を避ける必要性が高くなります。
そこで、弁護士や裁判所は文面を細かく調整し、紛争が再度発生することを防止するのです。
また、特に裁判所の和解調書や調停調書などは、約束が守られなかった場合に強制執行をするための書類になります。
そこで、後日そのような手続きに利用できる文書にするために、かなり細かく文面を訂正・調整します。
よくある訂正
以上のことから、弁護士や裁判所が訂正する方向性としては、意味が一義的ではっきりしたものにするということになります。
例えば、当事者が作成する文書では、誰が、誰に約束するのかなど、前提になっている事情が省かれる傾向がありますが、法的な文書ではその点をはっきり記載することになります。
また、期間なども、〇〇したらではなく、できるかぎり日付などで特定することになりますし、金額も算定可能な範囲ではっきりと記載することになります。
さらに、違反した場合にどうなるかなど、一定の想定されるリスクに関して配慮した記載をすることもあります。
このような記載がないと、いざ紛争になってしまった場合、再度争いが紛糾してしまうことにつながり、終局的な解決ができないと考えられるからです。