紛争やお悩みが解決せず、裁判所の手続きをしようという場合、裁判をするか調停をするか悩ましい場合もあります。
調停と裁判は別な手続きですので、調停をしてから裁判をしても良いですし、調停のみ、裁判のみを行っても大丈夫です。
しかし、そもそもいずれが良いのか悩んでしまうと、全く進めないこともあり得ます。
そこで、今回は、裁判と調停の違い(どちらの手続きを選べば良いか)についてお話ししたいと思います。
調停とは
調停とは裁判所で話し合いを行う手続きで、相手方との話し合いを、裁判所の調停委員という第三者が入って紛争解決を目指す手続きです。
話し合いですので、裁判所が強制的に結論を決めてしまうことはなく、あくまで相手方との合意形成を目指すものです。
また、話し合いですので、それぞれの言い分のどちらが正しいということを裁判所が強制的に決めることもできません。解決の内容も一定程度柔軟にできます。
他方、強制をするものではないため、ある程度は証拠がなくても話し合いを進めること自体はできるという特徴があります。
裁判とは
裁判は、裁判所が当事者の主張や証拠から、紛争解決の結論を示す手続きです。
最終的に裁判所が強制的に結論を決めるという特徴があるものです。
裁判では、裁判所が当事者の提出する主張や証拠を吟味して、どの事実があるのかを判断し、法律を当てはめて結論を下します。
ですので、証拠による証明は必須になってきますし、他方、相手方の同意は不要です。
ただし、法律に当てはめた結論を出しますので、柔軟な解決は難しいです(和解できる場合は別)。
どちらを選ぶべきか
ご自身の紛争でどちらを選ぶべきかについて言えば、主に、話し合いの余地はあるか、柔軟な解決が必要か、証拠はどのくらいあるかなどの事情からどちらが良いか判断することになります。
話し合いの余地がある、柔軟な解決を図りたい、証拠が薄いなどの場合には調停の方向でしょうし、話し合いの余地がない、柔軟な解決はいらない、証拠が十分あるなどの場合には裁判の方向でも良いでしょう。
もっとも、いずれの要素も不明確な場合も多々ありますので、その場合には、一度弁護士に相談しましょう。
なお、家庭裁判所の事件で調停前置主義が取られているものは調停を先に行う必要があり、一定の事件では自動的に審判という裁判のようなものに移行することがありますので、注意が必要です(一般の民事事件での民事調停や民事裁判の場合には、このような事情はないため、上記の各点が当てはまります。)。