配偶者から暴力を受けるいわゆるDVも離婚原因となりますが,DV特有の注意点があります。

 

身の安全確保が優先

 DVを原因とする離婚ですが,DVは法律上,その他婚姻を継続し難い重大な事由にあたるため,離婚原因となりますので,最終的には裁判離婚も可能です。

 ただし,離婚を進める場合,最初は協議や調停で話をすることになりますが,同居のまま話し合っても,場合によってはさらに暴力を加えられるなどして,泣き寝入りせざるを得なくなります。

 そこで,まずは身の安全を確保するため,別居することが最初のステップになります。

 アパートを借りるなどしなくても,実家や友人など協力してくれる方の家でも構いませんので,とにかく最初は別居しましょう。

 そういった場所がない場合,いわゆるシェルターなどを利用することになります。

 

住民票などは秘匿の手続きをする

 お子さんを連れて逃げた場合,学校などの関係で住民票も移さざるを得ない場合もあります。

 その際,普通に手続きをしてしまうと配偶者である相手方は住民票を取得できてしまいますので,居場所がわかってしまいます。

 そこで,住民票を移す手続きをする際には,DVを原因とする秘匿手続きを行いましょう。また,調停など裁判所の手続きを利用する際も住所秘匿の手続きを取ることができますので,利用しましょう。

 

場合によっては接近禁止命令などを申し立てる

 別居した後,相手方がこちらを探す行動に出ることはよくあります。

 このような場合,身の危険が続くこともありますので,裁判所に対し,接近禁止命令の申立てを行うなどして,配偶者が接近することを禁止するなどの措置が必要となります。

 

DVの証拠を残す

 DVを受けた時には,すぐに証拠を残しましょう。

 具体的には,ケガがある場合には,写真をとる,病院に行く,警察を呼ぶなどにことが考えられます。

 ケガがない場合でも,暴力を振るわれた場合には,警察を呼ぶ,日記をつけるなどのことも考えられます。

 DVを原因とする離婚は,裁判離婚も可能といいましたが,相手方がDVを否定してきた場合には,こちらが証明する必要があります。

 そういった時,集めていた証拠を利用することになります。

 警察を呼んだ場合,警察の方に相談記録が残る場合がありますので,警察を呼ぶことも証拠を残すことになります。ただ,その場合に,相手方だけが警察にお話しすると,こちらの認識と違う証拠だけが残ってしまいますので,必ず経緯などを含め,こちらの話を警察にしっかりとお話ししましょう。

 

(離婚原因ごとの注意点④に続く)

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