養育費についての争いでは、双方で互いに何らかの勘違い、思い違いをしていて、なかなか話が進まないことがあります。
養育費を決める際は、まず当事者同士で話し合うのが原則ですが、裁判所での決め方などを全く知らずに話し合いをしていてもまとまらず、調停などを行わなければならなくなることもあり得ます。
そこで、今回は養育費について勘違いしやすいことについてお話ししたいと思います。
養育費を支払えないは通らない
養育費についてよくある思い違いは、養育費を支払うと生活できないので、養育費は支払えないという話が通るかという点です。
養育費は、いわば一切れのパンを分けるとすれば、親が食べて余った分を分けるのではなく、親が空腹でも分けなければならないと言われています。
つまり、生活費や借金などを支払って、余った場合に支払うのではなく、双方の親の年収から計算される養育費については、生活費を切り詰めてでも支払う必要があるのです。
離婚の際の話し合いで、収入があるにもかかわらず、借金があるから支払えないとか、仕事の付き合いがあるから支払えないということは、法的には不当になります。
離婚の原因は無関係
また、相手方が離婚の原因を作ったから、養育費は支払わないということもできません。
養育費は子の生活費であり、相手方の離婚に対する責任は無関係です。
相手方が勝手に出て行ったのに養育費をなぜ支払わなければならないのかなど、お気持ちは分かりますが、そういった理由で支払いを拒否することはできません。
面会交流の不実施も無関係
さらに、面会交流できていないから支払わないというのも通りません。
面会交流の実施と養育費は別物ですので、双方関連しません。
養育費の支払いが滞納していても面会交流を求められるのと同様、面会交流できていなくても養育費を支払う義務があります。
後日の増減額の請求は可能
もっとも、養育費は長期に及びますので、再婚や子の出生、減収や増収など、離婚後の事情により、増額や減額の請求ができる仕組みになっています。
ですので、もし、支払いが厳しくなるような著しい状況変化があった場合には、減額を請求するなどして対応可能です(ですので、将来的な減収を見越して合意する必要はありません。)。