契約や離婚,相続,交通事故など,様々な場面で相手方が支払をしてくれず困っているという相談は多いです。

 そこで,今回は債権回収についてお話ししたいと思います。

 

支払を強制する手続きがある

 相手方が決まったお金を支払ってくれない場合,強制執行という手続きを取れば強制的に回収することも可能になります。

 強制執行は,差し押さえなど,裁判所を利用して行う債権回収の手続きです。

 これは,裁判所で手続きをして,預貯金や有価証券,動産などの物品,車,不動産,給与など,相手方の持っている資産を差し押さえて,取り立て手続きや競売手続きで金銭に変えて回収するというものです。

 ただ,かなり強力な制度なので,やみくもにできてしまうと違法な回収もまかり通ってしまうため,強制執行を使うためには,債務名義と呼ばれる書類が必要になります。

 

自分で回収してしまうことは違法

 ここで,手続きは面倒だから自分で回収してしまったらどうかと考える方もいます。

 例えば,話し合いをして,相手が任意に支払ってきたお金や物品を回収することは合法です。

 しかし,相手方が持っている資産を勝手に持ってきてしまったり,相手方の印鑑を勝手に使って相手方の物を売ってしまったり,相手方に貸している自分の物を相手方に無断で持ち帰ってしまうことは,違法になりますし,窃盗などで刑事罰を科せられます。

 すなわち,自分で勝手に回収してしまうことは,認められていません(自力救済の禁止)。

 

債務名義としての判決の取得

 そうだとすると,やはり債務名義を取得して,強制執行の手続きを行う必要があります。

 債務名義といわれる書類はいくつかあり,代表的なものは判決です。判決は裁判を行った結果として作成される書類で,強制執行のために裁判を行うといっても過言ではありません。

 ですから,どうしても強制執行をする前に裁判をすることになってしまいます。

 

判決以外にも債務名義はある

 では,必ず裁判が必要なのでしょうか。

 実は,判決以外にも債務名義として働く書類はいくつかあります。

 例えば,調停調書,和解調書,強制執行受諾文言付公正証書などです。

 これらは,裁判までしなくとも,一定の条件を満たせば取得できるものです。

 次回は,判決以外の債務名義の取得についてお話ししたいと思います。

 

(相手が支払ってくれない!!(債権回収の問題)②に続く)

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