動産執行(物や現金など)

 預貯金もなく不動産もない場合,住所地にある動産(物や現金など)を差し押さえる方法もあります。

 この場合,裁判所に申し立てをして,裁判所の執行官という方が住所地に行き,物を回収し,その後売却してお金に換えます。

 もっとも,動産は日々の生活に直結するため,布団や冷蔵庫など生活物品は差し押さえできず,他人から借りているものなども差し押さえはできません。

 一般的には通常の住居内には生活物品以外で値段がつくものが少なく,また,多額の現金を持っていることも少ないので,なかなか回収に結びつかないことも多いですが,場合によっては効果が大きい方法です。

 

給与差し押さえ

 資産があまりない場合でも,相手方がお勤めの場合には,給与差し押さえという方法もあります。

 給与差し押さえでは,給与の4分の1までの範囲内(養育費などのために差し押さえる場合は2分の1までの範囲内)で差し押さえを行うことができます。

 相手方の勤務先に裁判所から通知を送付する関係で,相手方の勤務先がわからないと利用できませんが,勤務先を知っている場合には,かなり効果的な方法です。

 

相手方の資産も勤務先もわからない場合

 相手方の資産や勤務先がわからない場合,差し押さえる対象を特定できないので,裁判所への申立てができません。預貯金などはあてずっぽうで差し押さえる方法もないではないですが,外れることも多く,費用対効果としてはあまり良くありません。

 このような場合のために,財産開示という手続きや第三者情報開示という制度があります。

 財産開示は相手方を裁判所へ呼び出して財産の内容を開示させる制度ですが,実効性がなかったことから,最近の法改正で罰則が厳しくなり,少しは実効性が担保されることになりました。

 また,第三者情報開示は,金融機関などに預金の所在などを照会する制度で,最近の法改正でできた制度です。

 

 次回は相手方の資産も勤務先もわからない場合について,法改正を踏まえながらお話ししたいと思います。

 

(相手が支払ってくれない!!(債権回収の問題)⑤に続く) 

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