相続が問題になった場合、亡くなった方が遺言書を作成していれば、その遺言書に基づいて相続するのが原則となります。
逆に言えば、自分の遺産を自分がなくなった後にどうしたいか考えがある場合、そのとおりにするためには遺言を作成しておかなければなりません。
遺言書がない場合には、法律に基づき、相続人全員で遺産分割協議をしなければならなくなります。
とはいえ、元気なうちは、遺言書を考えることはなく、その重要性は作成できない状況になってから発覚することもあります。
そこで、今回は、遺言書を作成していないとどうなるか(遺言書の重要性)についてお話ししたいと思います。
遺産分割協議が必要
遺言書がない場合、遺産分割協議を相続人全員で成立させる必要があります。
相続人全員なので、一人でも欠けると成立しません。
ですので、行方不明な人がいる、認知症などで判断能力のない人がいるなどの場合、遺産分割協議をそのまま成立させることができず、不在者財産管理人や成年後見人などを選任する手続きが必要になります。
口頭で話していても法的効力はない
また、遺言書を書かないで、配偶者や子に、死亡後はこうしてほしいという希望を残しておいたとします。
この場合、配偶者や子などが全員、その意思を実現しようと考えてくれれば良いのですが、一人でも反対したら遺産分割協議ができなくなってしまいます。
協議が成立しない場合、調停を経て審判をする必要があることがありますが、審判では、裁判所が遺産分割内容を決めるため、口頭で残しておいた言葉どおりにはいかなくなってしまいます。
エンディングノートなども同じ
最近ではエンディングノートなどで死後のことを記載しておく方法がありますが、遺言書は一定の法的な要件を満たす必要がありますので、その要件を満たしていないエンディングノートなどは、口頭で話したのと同様の効力しかありません。
したがって、遺言書をしっかりと作成しておかないと、遺産分割協議による必要が出てきます。
以上のとおり、遺言書を作成していないと、他の準備をしていたとしても、相続人による遺産分割協議を要するため、自分の意向が十分働かないことになります。
できれば元気なうちに遺言書を作成しておきましょう。