テレビドラマや法律バラエティ番組などで,よく損害賠償という言葉を耳にします。あまりに耳慣れているので,最近では,一般の方が損害賠償という言葉を使う場面が増えているように感じます。今回はこの損害賠償について,そもそも損害賠償とは何なのか,どんな場合に損害賠償を請求できるのか,損害はどうやって算定するのか,などについてお話ししたいと思います。
損害賠償とは
損害賠償とは,相手方がわざとまたは不注意でこちらが不都合な状況を起こした場合に,その損害を金銭評価して,金銭的に穴埋めをしてもらうことをいいます。
法律上は,主に,債務不履行(契約違反など)に基づく損害賠償と不法行為(違法行為や事故など)に基づく損害賠償の定めがあります。
損害賠償の考え方
上記のとおり,損害賠償は穴埋めです。つまり,穴がなければ埋める必要がないので,損害賠償を請求できません。損害がなければ賠償を請求できないのです。
なお,慰謝料は特に目に見える損害がないから,損害賠償ではないと思う人もいらっしゃるかもしれませんが,慰謝料は精神的な損害(苦痛)をお金で穴埋めするという損害賠償の一種です。
補償との違い
損害賠償に似た言葉で補償というものがあります。
補償も何かのきっかけで発生した損害を賠償する意味合いが含まれたりもしますが,正確には補償は,例えば相手方に全く落ち度がなく違法ではないため損害賠償を請求できない場面で,金銭的に穴埋めを行う場合をいいます。
原因が違法か適法かの違いがあります。
ただし,一般にはあまり厳密な使い分けをされてはいません。
損害賠償請求ができる条件
損害賠償できる条件は,主に,①契約違反などの債務不履行か違法行為があり,②相手方に故意または過失(わざとだったり不注意があったりすること)があり,③損害が発生していて,④行為と損害に因果関係があること,が必要になります。
よく相談にいらっしゃる例で,損害賠償の話が出る場合,場合によって,上のいずれかの条件が欠けている場合があります。
例えば,②相手方の不可抗力(自然災害など)が原因のものや,③損害がない場合,④因果関係(原因結果の関係があって,一般人から見て起こりえるものであること)がない場合などです。
場合によっては,感情的に許せないと理由だけで損害賠償の話が出る場合もあります。
先ほどの②の例に出した自然災害の場合でも,例えば崩れやすい建物を建てていたとか,相手方に責任がある場合もあるため,損害賠償請求ができるかについては,専門家の判断を仰ぐ必要はありますが,全てが全て請求できるわけではないので,注意が必要です。
次回は,損害賠償ができる場面についてお話ししたいと思います。
(損害賠償を請求したい!!②に続く)