借用証を作成する場合や、何らかの金銭を分割払する内容の合意をする場合、一般的には支払期限が設定されています。
毎月末日までにいくらとか、いついつまでにいくらといったものです。
このようなものを法律上、期限といいます。
期限が設定されると、期限がない場合と比較して、内容が異なってきますが、一般的なイメージと異なる点もあり、注意が必要です。
そこで、今回は、期限についての注意点(借用証などを作成する場合の注意点)についてお話ししたいと思います。
期限があるのとないのとの違い
期限が設定されると、支払をする方はそれまでに支払えば良い利益を得ます。
これを期限の利益と言います。
ですので、請求側は、期限が来るまでは、支払を請求することはできません。
他方で、期限がない場合、期限がないため、支払をする方は請求されるまで支払わなくて良い状態になります。
しかし、逆に言えば、請求する側はいつでも請求できますので、期限がある場合よりも、請求する側に有利な場合もあります。
すなわち、期限がないことは必ずしも支払側の利益ではないという側面があるのです。
期限を過ぎた場合
期限が設定されていて、期限を過ぎても支払をしてこない場合、請求側は当然支払を請求できますし、訴訟などでも請求できることになります。
しかし、注意すべきは、分割払などの場合、1回の支払ごとに期限が設定されていることになりますので、期限を過ぎていない部分については、これまで何回不払いになっていても、請求はできません。
一般的な感覚としては驚きかもしれませんが、法律の原則としてそのようになっています。
不払いの場合に一括で返してもらうためには
とはいえ、期限を何度も過ぎているのに、まだ期限がきていない部分を一切請求できないというのは不当とも思えます。
そこで、このような場合に有用なのが、期限の利益喪失条項です。
これは、例えば2回不払いの場合には、期限の利益は失われ、一括払いに変わるという条件のことです。
借用証などにこのような条件を入れておけば、期限がきていない部分について不払いの場合に期限がなくなり、全額を請求することができるようになります。
この点、一般的なひな形にはこのような記載がないこともありますので、借用証や合意書などを作成するときには注意しましょう。