親族間で紛争があるなどして、被相続人との関係が悪く、被相続人が特定の相続人に相続させたくないと思う場合もあります。
場合によっては、被相続人からお金を取っていったり、被相続人に暴力を振るったりすることで、同様の問題が生じることもあります。
そこで、今回は、生前に法定相続人の相続権をなくすことはできるのかについてお話ししたいと思います。
生前の相続放棄はできない
まず、被相続人が生きている段階で、相続人が相続放棄や遺産分割協議をすることはできません。
仮に似たような合意をしても無効になります。
したがって、先に何か話し合っておくことは難しいです。
遺言を作成しておく
他方で、遺言により、特定の人が相続しないようにしておくことは効果があります。
例えば、3人の相続人のうち、1人にはこの財産を、他の1人には残りの財産を、もう1人には相続させないということは可能です。
したがって、まず今回のような場合、遺言を作成しておく方が良いでしょう。
遺留分への配慮
ただ、遺言で相続させないとしても、相続分の3分の1~半分について、遺留分を持っていることがありますので、こちらへの配慮が必要になります。
遺留分は、生前の段階で、家庭裁判所の許可を得て、相続人自らが放棄の手続きを行うことはできますが、現実的にはそのような行動をとることはなく、難しいでしょう。
相続欠格・相続廃除
では、あまりにひどいことをやった場合でも相続権は守られるのかというとそうではありません。
極端な例ですが、被相続人を死亡させたり、詐欺などで遺言をさせたなどの場合、相続欠格として相続人の立場が取り上げられることがあります。
また、相続人が被相続人を虐待したりした場合には、生前には家庭裁判所で手続きをし、または、遺言によって相続人から廃除できる場合があります。
したがって、必ず相続権は守られるわけではありません。
ひどいことをされた被相続人は、遺言を作成する際に、廃除のことも記載しておくと良いでしょう。