【質問】先日,父親が亡くなったのですが,遺産の調査はどうすればよいですか?
調査すべき遺産
自分が相続人になる身内の方が亡くなった場合,相続をするかしないかを決めるにあたっても,遺産分割を進めるにあたっても,亡くなった方(被相続人)にどのような遺産があるか調査する必要があります。
一般的に考えられるものは,不動産,預貯金,保険,株式など証券,借金,滞納税金などです。
調査方法
まず,当然ではありますが,亡くなった方のご自宅内の書類などを確認し,預貯金や保険,証券,借金,滞納税金がないか確認します。
通帳や保険証券,株券,借用証,税金の督促状など,わかりやすいものだけでなく,銀行名の入った書類や預金通帳からの引き落としなど,関係がありそうな書類の記載を広く確認します。
預貯金について
預貯金に関しては,通帳が見つからなくても,取引がある場合があります。
特に定期預金を証券の形で持っていて,証券を紛失してしまっていることもあります。
そこで,預貯金は比較的近い場所にある金融機関に取引の有無や内容を確認する方法で調査します。
戸籍などご自身が被相続人の相続人であることがわかる書類を持っていき,所定の手続きを行えば,金融機関は預貯金の有無について回答します。
ただし,ゆうちょ銀行は,貯金事務センターという広域のセンターで相続事務を取り扱っており,郵便局の窓口で手続きをすると,後日貯金事務センターから所定の書式が送られてきて,その書類にある手続きを行うと,さらに後日回答が来る仕組みになっていますので,通常の金融機関と異なり,調査に時間がかかります。
保険について
保険に関しても,証券が見当たらない場合でも,生前何か付き合いがあったところや,預貯金口座から引き落としがされている保険会社に対し,戸籍などご自身が相続人であることを証明して,所定の手続きを行うことで保険の有無や内容を回答してもらうことができます。
特に関係がなさそうな保険会社にも念のため照会することも考えられますが,費用や手間もありますので,調査対象は一定の範囲に絞らざるを得ないと思います。
以前は,弁護士が行う弁護士会照会という手段で,生命保険協会に対し一括照会を行うことが可能でしたが,現在はそのサービスは終了しているため,一社一社調査するほかありません。
生命保険だけでなく,医療保険や損害保険など,保険には様々な種類がありますので,どの範囲まで調査するか絞った上で,照会などを行い,調査をします。
なお,生命保険は,相続人ではなくとも,受取人が指定されていればその受取人が受領できるものになっていますので,遺産分割の対象に含まれませんが,相続税の前提となるみなし相続財産になっていることもあり,調査を要します。
(Q. 遺産の調査について②に続く)