訴訟や調停など、法的な手続きを取る場合に、相手方に書面が届かず、手続きを始められない場合があり得ます。
相手方へ書類が届かないと、訴訟については不送達となり、開始しませんし、調停では話し合いの相手が出てこないことになりますので、手続きが進みません。
そこで、今回は、相手方が住所地にいない場合の対処法についてお話ししたいと思います。
相手方の住所を調べる方法
まず、そもそも、訴訟などを行う場合、相手方の住民票などを取得することは可能です。
また、住所にいないことが明らかになった場合に、知人からの聞き込みや探偵の利用などで居場所を特定する方法はあります。
送達での工夫
訴訟の場合で、相手方が住所地に普段いるが、送達時にたまたま不在だったという場合には、付郵便送達という形で送達してもらい、訴訟を行うことが可能です。
また、相手方が住所地にいない場合には、住所不明であることを疎明して、公示送達という方法で送達してもらい、訴訟を進めることもあり得ます。
相手方に代わる人をつける
ただ、和解を必要とする場合や、調停の場合など、相手方にある程度対応してもらう必要がある場合、送達ができただけでは解決になりません。
そこで、そのような場合、不在者財産管理人の選任という方法があります。
これは、住所地におらず、行方不明となっている相手方に代わり、意思決定などをする管理人を、裁判所に選任してもらうという方法です。
不在者財産管理人の選任手続きは、調停などと別途に手続きを行う必要があり、一定の予納金なども必要になるため、必ずしも便利なものとは言えませんが、とにかく法的手続きを進めることができ、一定の柔軟解決も図れる点で有益な制度になっています。
個人が特定できない場合
なお、相手方の住所が分からず、そもそもどこの誰だか分からないという例もあります。
このような場合、相手方の特定ができないため、そもそもの手続きを行うことが難しいと言えます。
したがって、法的な関係では、少なくとも相手方の特定が可能な状況にしておくことは大切です(例えば、ネットで知り合ったよく分からない人にお金を貸すなどのことは絶対にやめましょう。)。